ナンキンハゼ
ナンキンハゼと始めて出会ったのは、どこかの小道。
白い実にかわいい!と、ときめいて見上げても主である木は見当たらず。
何年も経って再会した主である木を前に、心が躍ったのは言うまでもありません。
花材として使うには、白い実がきれいな方が良いと
実が弾ける前に、枝ごといただいて、下処理。
実が弾けるまで乾燥させながら待つこと3週間。
乾燥を促すために、乾燥した部屋の中に持ち込んでさらに乾燥させること2週間。
お花屋さんで買うたわわな枝ぶりは、伐採しました売りましたではないと始めて知りました。
秋も深まり、紅葉し実が弾けるやいなや鳥たちが待ってました!とばかりに朝から夕暮れまで、木に集まる様子を見あげながら、さすがだな〜と感心。
下処理を終えた殻を燃やすと、パチパチと点火するごとにすごい火力で燃える。きっと実の方は、油分も多いにちがいない。
いつかは家にもナンキンハゼの木を植えたいと思いながら、あの木の周辺を見渡してみる。
こんなに長年、毎年実が落ちてを繰り返しているけど、ナンキンハゼの赤ちゃんを見かけるのは2.3本。
試しにこの下処理した実を植えてみようか。
実が採れるほど大きくなるころは、私は杖をついて歩いているか、祖母みたいに木にぶら下がっているかもしれない。
こころ、ここに花
「今は点と点かもしれないけど、気がついたら線になっているかもしれないよ。」
昔から憧れの誰か、何かみたいになりたかった。
小道で見つけたかわいらしい木の実のように、何かに恋して始めてみたものの、
何かが違うという気持ちのその先へ何故か辿り着けることはなかった。
白い木の実との出会いは、もう20年も前のこと。
自分のがんばりとは違うところで、ひそかに何かが進んでいることも
あるのかもしれないと、20年ぶん記憶は確かな輪郭をもっていた。
ナンキンハゼを使ったリースは、点と点を結びながら線を作っていく作業そのもの。
「こう」と決めて作るより、ひと枝一粒を生かして仕上げる方が
ずっと面白いし、それが一番確かなこと。