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ハームリダクションアプローチ
自分にとって良いバランスってなんだろう?と思うことがあります。
依存症を患った私が病院や本で学んだ、依存症へのアプローチを一部まとめてみます。
私は食べ物に依存していた
私の一番の依存物は食べ物でした。
疲れた時に甘いものが食べたくなるのは普通だけど、食べ物依存性の私の場合は、その「食べたい」がとてつもなく強い欲求。 しかも、なぜか食べるごとに埋まらない穴ができていく感覚で、食べれば食べるほど「足りない」感覚に囚われます。背中が膨れるくらい食べ物を詰め込むみ、その後は食べたことをなかったことにする代償行動に走ります。危険なのはわかっていても、吐血していても止められませんでした。摂食障害の症状の一つです。
調節障害
入院を経て院内のプログラムを受けた際、誤ったセルフケアという心理教育を受けました。精神医学用語で「調節障害」というそう。バランスをとるのが難しく、危ない記憶を行動化しやすく、無意識に再現しようとしてしまいます。危険な方法を使ってしまう場合には、自分を責めるよりどうしてその方法がやめにくいのかを考えたほうが良いとのこと。また、その行為がやめられない理由として
・安全だと退屈に感じてしまう
・刺激的であり、手っ取り早い
・やりすぎてしまう性格上、止めにくい
・危険な人間関係にむすびついていて、その人に魅力を感じたり脅されている
・自分を破壊したい、自分なんてどうでもいい
・罪悪感があって自分を追い詰めたくなる
・楽しむ経験が少なく、楽しむことが苦手で苦労している方が落ち着く
などの項目に当てはまるものが多いほど、危険なセルフケアが役立っている部分が大きいので、無理して止めるより、それ以外の少しでも楽しめることやリラックスできることがあれば、できるだけそちらへ意識を向けてその時間を少しずつ増やしていくほうが良いとのこと。
自分を責めるより、こういうところがある自分を丸ごと認めてあげたり、こういうところがあるとわかっていることが大切ということも教わりました。
ハームリダクションアプローチ
おおたわ史絵さん著「母を捨てるということ」でも、依存症に関するアプローチが記されています。問題にならない程度に緩やかに使用を続けながら社会性を取り戻していくやり方ということを、「ハームリダクションアプローチ」というそうです。依存症当事者なので読んでいて辛い気持ちもあったのですが、私と生活してくれる家族の気持ちを知りたいと思い読ませていただきました。
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何かに依存するのは、生きづらさや苦しさを埋め合わせるための自己治療(セルフメディケーション)というのが、近年の依存症の医学の解明なのだそうです。
この言葉を読んだとき、少しだけ救われたような気持ちになりました。薬物やアルコールなどと違い、完全に断つことのできない食べ物依存からの回復は、私からすると並大抵のことではなかったからです。治療をしていても苦しくて亡くなってしまう方もいるくらい深刻な病。やめればいいという簡単なものではありません。
苦しいのでこれ以上は書けませんが、やめられない人=だらしのない人ではないと伝えたく、この記事を書かせていただきました。多くの人たちが、依存症から回復したいと願っています。
アドラーよりケーキ、自分のご機嫌をとり続ける
長く続いている回復のための治療ですが、家族や支援者、仲間の協力もあって私も少しずつ症状を手放して生活できるようなバランス感覚が持てるようになってきました。施設に入っても食べ吐きが止まらず、無理にやめようとすると別の問題に直面し挫折、長続きしませんでした。
意識の切り替えがうまくと良い感覚があっても、日常生活はいろいろありますから上手くいかない時も。失敗してもめげずに普段から自分のご機嫌を取れるようなアイテムを揃えたり使ったりしています。勉強熱心な仲間は「アドラーよりケーキ」と言っていましたが、それで良いと思えます。私もケーキの代わりになる何かをたくさん見つけていきたいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。