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人生コア・サテライト戦略

投資の世界にコア・サテライトポートフォリオというポートフォリオ戦略があります。

コア・サテライト戦略とは、ポートフォリオ(運用資産)を守りのコア(中核)と攻めのサテライト(衛星)に分けて管理する運用方法。

フィディリティ証券HPより引用

コアに何を添えるのか、コア・サテライトの比率はどうするのが良いのか、などの細かい話はケースバイケースですので割愛しますが、実際に筆者も、リスク資産運用におけるポートフォリオはこのコア・サテライト戦略を採用し現在も運用中となります。

具体的にはリスク資産のほぼすべてを株式に振り向け、リスク資産の90%をコア枠のインデックスファンド、10%をサテライト枠として個別株やアクティブなETFなどで運用しています。


人生のあらゆる局面で応用可能か


さて、投資ポートフォリオ戦略の一つであるコア・サテライト戦略は人生の多くの局面で応用可能で、適切な使い方をすることで人生をより豊かにしてくれる可能性があるのではないか?と考えていたりします。

例えば、ビジネスやお仕事。

現代では副業は珍しくないと言ってもいいほど副業が世間一般に浸透し、実際に本業と併せ副業に勤しんでいるビジネスパーソンも多いです。

企業によっては、副業から得られる経験を本業に活かし、より生産的な組織にすべく副業を推奨しているところさえあります。

時代は変わってきましたね。仕事もコア・サテライト化。

収入の確保という観点から考えると、”収入の複線化”はリスクを分散する意味でも、収入を増やすという意味でもプラスに作用する期待値が高いと思います。

例えば1つの取引先に売上を100%依存している事業のリスクが非常に高いことは誰もがイメージできよう。

また、株式投資においても1銘柄に100%集中投資することはリスクを高めます。

別の切り口では他者との関係。

一つのコミュニケティや限られた人間関係に依存している場合、その人間関係を失うと社会資本のすべてを失ってしまう危険が付いて回ります。

そうなると、その関係を維持するために過度な我慢をしたり、人の顔色を常に気にするような心地悪い時間を過ごさなければならない確率が上がってしまう。

また、道徳的にどうこうの話ではなく、色恋の話に関しても同じことが言えるかもしれません。近年では”セカパ(セカンドパートナー)”なる言葉が目立ってきた印象です。

心が大きく動くそのトキメキ自体はとても素敵なことだと思いますし、人生の中でそう多く体験出来るものではないでしょう。

ここで表現したいことは、「副業をしろ」とか「浮気をしちゃえ」という直線的なものではありません。

道徳的に、法的に、世間体などをいったん脇に置いておき、経験や思い出を含む幸福の最大化とリスク管理のみに焦点を絞るとコア・サテライト戦略は人生の様々な場面でプラスに機能しそうだ、という概念のお話です。


コアがしっかりしている事が重要


コア・サテライト戦略を人生の様々な場面に応用し、プラスの成果を得るためには、「適切な使い方」と「使いどころの選択」がポイントになりそうです。

そして何よりも重要な点は「コアをしっかり固める」という事。

コアをどっしり構え、たとえサテライト部分が失敗しようが、粉々に砕けようが、全体として取り返しのつかない事態にはならない様に管理出来ている事が重要です。

サテライト部分がコアより大きくなっているような使い方はコアサテライト戦略のロジックとして健全では無さそうです。

あくまで、人生の土台、コアは揺るぎのない盤石な状態を形成し、その上でのサテライト(衛星)なのです。

このバランス感覚を最重要視したいところです。


リスクとリターンは裏表


一方、人生の各局面でサテライト(衛星)を飛ばすということは、時間や金銭や能力など有限のリソースをコアとは別に振り向ける行為に他なりませんので、様々な面でプラス方面にもマイナス方面にも動く可能性があります。

リターンが大きくなる可能性と共にリスクも大きくなるのです。

投資の世界で使われる”リスク”とは振れ幅の事を指します。

そしてリスクとリターンの関係は、効率的な市場においては表裏一体の関係という考え方があります。

「リスクが大きなものほどリターンが大きい(ハイリスク・ハイリターン)」「リスクが小さいものほどリターンが小さい(ローリスク・ローリターン)」という例えが分かりやすいでしょう。

つまり、大きなリターンを取りに行くと、リスクが大きくなり、大きな損失を被る可能性も増す、ということです。

このあたりの概念の理解も、コア・サテライト戦略を人生の各局面で活用・応用するうえで大事になってきそうです。


ハックの余地も見逃さない


上で「効率的な市場においてはリスクとリターンは裏表の関係」と書きました。

もう少し踏み込むと、「効率的な市場では、すべての情報は瞬時に資産価格に織り込まれ形成されている。また歪みはすぐさま解消される。よって投資家は証券などの取引により市場平均のリターンを上回る収益を持続的に得ることはできない」とされています。

これはファイナンスの世界で言われる“効率的市場仮説”に内包されていますが、金融の世界よりも効率的ではなく、常に歪みが存在していて、場合によっては、歪みがずっと放置されていたりするのが我々の生きる複雑系の人間社会だったりします。

この歪みを見つけ、無リスクでリターンを取りに行くようなことを「ハック」や「チート」「攻略」と表現します。

人生コア・サテライト戦略はその歪みを見つける余地(可能性)を信じて採用する戦略と捉える事も出来そうです。

この辺りの話は橘玲さんの書籍が面白いです。


要は”あそび”と”余裕”


なにごとも、適度なあそびと余裕が大切だという気がしています。

筆者の性格上「真面目が過ぎるのに耐えがたい」という面があるので、強くそう思うのかもしれませんが。

例えば、車のアクセルペダルやブレーキペダルには”あそび”と言われる余白がありますね。

この”あそび”がないと1ミリでもペダルを踏みこんだ瞬間に発進したり、ブレーキが掛かったりしてしまいます。

想像してみて欲しい。これはかなり運転しづらいと思います。というか高確率で事故を起こすでしょう。

また、イェール大学のアシスタント・プロフェッサー成田悠輔氏がどこかでお話をされていましたが、夫婦関係を円満に長く続ける最大のコツは「配偶者よりも自分が幸せになってはいけない」ことで、これはノーベル賞レベルの発見だと仰っていました。

表現を変えると、この意味するところは「自分の幸せよりも相手の幸せを願えるか」ということだと思います。しかしそのためには自分に”余裕”が必要でしょう。

やはり人生、”あそび”や”余裕”が重要な要素となっていそうです。

そして”あそび”や”余裕”はどっしりしたコアと一見非効率なサテライトから生まれてくるような気がします。

無駄で非効率で非合理的なことも、全体で見れば無駄ではなく合理的だった、ということだってありますから。


おしまい

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