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仕事やキャリアで悩むメカニズムを進化生物学の観点から考えてみた
前回の記事ではジョナサン・マレシック氏の考えを元に「仕事がなぜ辛くなるのか」という理由と処方箋を紹介しました。
結論としては下記でした。
「私たちは仕事にお金以外の大きな意味を持たせすぎているので、仕事の理想と現実に大きな乖離が産まれているから」
今回はマレシック氏の思考プロセスとは別の切り口で「なぜ我々は仕事やキャリアで悩むのか」を男性に絞った形で考察していきます。
考察の切り口は“進化生物学”と”恋愛工学”です。
男性が仕事やキャリアで悩む原因
まず、本記事を通しての仮説は、人間という生物の本能からアプローチした内容となります。
男性が仕事やキャリアで悩む原因:仮説
仕事を遂行する能力高いこと、お金をたくさん稼げること、権力を得ることは男(オス)として後世に遺伝子を残しやすいメカニズムが働いているからではないか?
マレシック氏は仕事に金銭報酬以外のリターン、例えば「やりがい」や「成長」「他者からの承認」などを求めるから辛くなると結論付けていました。
それではなぜ、我々男性はそもそもお金以外の報酬として能力(成長)、承認、名声などを求めるのか、という理由を考える際、突き詰めると性愛の獲得(異性からモテたい)が大きな動機の一つではないだろうか。
この仮説を補強する2つの理論を紹介します。
GoodGenes GoodDad理論
GoodGenesとは「良い遺伝子」、GoodDadとは「良い父親」という意味になります。
GoodGenes GoodDad理論とはオスとメスの生存戦略に由来するものです。
メスのオス選びの本能的な戦略として、己の子孫がそのまた子孫を残しやすくするために、子孫を残しやすい遺伝子を獲得するというもの。
ここでいう遺伝子には身体的特徴、知能の高低、保有免疫など生物を形作る基礎となるもの全てを含みます。
分かりやすく言えば、頭が良く健康で見た目の良い遺伝子を女性は本能的に求めるということでしょう。
また、良い遺伝子(Good gene)を獲得し子供を産んでも、人間の女性は長い期間子育てに多大なリソースを投下しなければなりません。
その際に子育てに非協力的だったり、子供が生きるために必要な物資を獲得してこない男性と一緒にいては生存が脅かされる可能性があります。
今でいうイクメン男子的な要素(Good Dad)を女性は本能的に求める傾向が強い。
女性の生存戦略の土台は本能的にこの2つのバランスのうえで成り立つという考えです。
環境や教育がスマホにプリインストールされててアンインストール出来ないアプリというイメージで、本能はOSレベルの仕様という強烈なものを感じずにはいられません。
推測される魅力理論
こちらは熱帯魚のグッピー実験が有名ですが、モテるから更にモテるという理論です。
水槽を透明な板で3つに分けて、真ん中にメス、両端にオスを入れます。
オスに関して、1方は丈夫で発色の良いオス(イケメングッピー)、もう1方は体が小さく発色の悪いオス(ブサメングッピー)を選んでいます。
ここで、ブサメングッピーの方に別のメスを一緒に入れて性交をさせる事を繰り返します。イケメングッピーの方には何もしません。
その後、透明な板を外し、真ん中にいたメス、イケメングッピー、ブサメングッピーに自由恋愛をさせると、メスはたくさん性交をしている姿を見ていたブサメングッピーを選びやすいという結果の実験になります。
上述した通り、GoodGenes GoodDad理論がメスのオス選びにおける本能なのですが、事前に誰がGoodGenesで誰がGoodDadを見分けるのは困難です。
そこで、「他の女性が既に選んでいるならGoodGenes or (and) GoodDadであろう」という選択(意思決定)の省エネ機能だと理解しています。
仕事とモテの関係
GoodGenes GoodDad理論は”ステータスとしてのモテ”、推測される魅力理論は”モテスパイラルとしてのモテ”と言い換えることができます。
人間の男性は幼少期~思春期~青年期~壮年期とステージが変わっていく過程で、女性からの評価軸も変わっていきます。大まかに表現すればこのようなイメージ。
ステータスとしてのモテ要素
(ステージ毎モデルケース)
幼少期:足が速い、ケンカが強い 等
↓
思春期:カッコいい、スポーツに秀でている、ヤンチャ 等
↓
青年初期:カッコいい、オシャレ、頭がいい、優しい 等
↓
青年後期:権力、誠実、仕事が出来る、お金 等
↓
壮年期:優しい、お金 等
ステータスとしてのモテ要素をコアに、その時々によって各ステータス項目の中で重要視される項目比重が変化していきます。
成人する頃には、「仕事が出来る」「良い職に就いている」「金を稼いでいる」という要素が相対的に重要度が高まってくるという背景があり、男性は「より良い仕事」「より良いキャリア」を生存本能として求めるようになるということです。
また、就労初期でよい環境に恵まれれば、良い仕事、良い条件にありつきモテる、それが自信になり更に仕事を精力的にこなす様になる(結果的に金銭的にも恵まれやすくなる)、その姿がモテる・・・という形でモテスパイラルが発生し、”推測される魅力理論”が発動するという流れになります。
男性の本能が悩みの源
ジョナサン・マレシック氏は「私たちは仕事に大きな意味を持たせすぎている」と言いました。
ただ、仮に「おカネの為」と振り切ったとしても、(異性からモテるために)どのようにより多く稼ぐか?や、多く稼ぐためには誰の太鼓持ちをしようか?むしろ転職か?スキルアップのための自己投資をするべきか?と頭を悩ませます。
このように、オスとしての本能が我々男性を悩ませるというわけです。
また、女性からの「一生懸命仕事に取り組む人が素敵だ」「バリバリ仕事をしている姿がカッコいい」なんて言葉を聞けば、男性はそのようになりたい(見られたい)と思うようになるのが自然です。
ある意味、生存本能がお金以外の「やりがい」「成長」「熱中」を求めるようになるという気がしています。
命を落とすよりはマシである
もし、この仮説がある一定の正当性を持っていた場合、我々は仕事やキャリアについての悩みから逃れる事はできないのでしょうか。
恐らく、そうだろうと思います。
こればかりは生物として受け入れるしかない可能性が高いです。
しかし、ここでもう詰みなのか、と言えばそうでもないと思います。
我々男性は加齢とともに、生殖能力も衰えていくので、どこかのタイミングで多くの男性は煩悩を捨てられるようになると思います。
そこまで待つ、というのが解決策の一つ。
もう一つは、現実的に対象割合が少なくなるので難易度は高めですが、お金や仕事の有能さ、逞しさ以外を男性に求めている女性から受け入れられるという事です。
チンパンジーの次に人間に近いとされるジャングルに住むオスのゴリラは、メスを獲得するために、命を懸けた決闘をします。
負けると本当に命を落とすことも珍しくありません。人間以外の動物界では性愛の獲得とはそれほど過酷なものです。
しかし、我々人間の男性は女性からフラれようが、恥をかこうが、死ぬことはありません。
過去に大変なことがあったかも知れない。心に傷を負っているかもしれない。遺伝子に恵まれなかったかもしれない。人は、口にするしないはともかく、誰もがそれぞれの地獄を背負って生きていると思うのです。
しかし、私たちには今しかない。今を少しでも、より良くしていくしかないのだと思う。
お金や権力、仕事面での有能さを度外視するのであれば、、、
「自分史上最大に外見を整えよう」
「街へ出よう」
「笑顔で話を聞こう」
「自分からLINEを交換しよう」
「デートに誘おう」
たった一人、ジャングルのなかで、雨に打たれながら息絶えるよりはマシだろう。
完
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