「EVシフト」という左翼思想 ※後編
「「EVシフト」の独フォルクスワーゲンが「EV不振」でリストラへ…その裏でガソリン車人気が衰えない大いなる皮肉」
(現代ビジネス/川口 マーン 惠美)
断っておくが、私はBEVそのものを批判しようとは思わない。
自宅で充電出来るという利便性の高さについては論を俟たないし、深夜にクルマを出さなければならない様な時、エンジンの始動音で隣近所に迷惑を掛ける心配も無い。
エンジンでは到底実現出来ないレベルの微細なトルク制御が可能であり、それは即ち、エンジン車では不可能な次元の上質さが実現出来るという事である。
ICE車に対してBEVが優越する要素は確実に存在する訳で、現時点でもその存在意義を疑う余地は無い。
批判するのは、左翼、全体主義者による「阻害する行為」である。
具体的にどの様な行為が該当するか。前編で「BEVとICE車の差額とランニングコスト」を試算したが、これを例に取って解説してみよう。
軽自動車とCセグメント普通車の2パターンで試算した訳だが、かなり省力化しているので色々と不備もあろうが、それでも大変に有意義な数字であると断言出来る。
何故なら、BEVに対して支給される補助金を含めて”いない“からである。
補助金だけでは無い。環境性能割だとか排気量でどうのという意味不明な税制だとか、そういった政府の介入による影響を極力省いているからこそ意義深いのである。
この手の試算の殆どは補助金や税制の優遇を考慮に入れたものとなっているが、これだとBEVの実際の実力が見え難くなってしまう。
販売店が購入希望者の為にやるなら良いが、不特定多数に公開する事を前提としてやるものでは無い。
補助金を出したところで、喜ぶのは購入者と補助金制度で甘い汁を啜りたい詐欺師だけである。
政府が特定の製品やサービスを優遇しなければならなかった事例は有史以来存在しないが(存在する”体“になってはいるが)、例え存在したとしても補助金という手段を許容してはならない。政府という組織が有する圧倒的な権力を加味すれば自明であろう。
補助金というのは、税金を多めに徴収し、独断と偏見で特定の誰かに与える事を言う。その過程で手続きやら何やらでコストが発生し、目減りする。まして、政府の様に絶大な権力を有する組織がそれをやれば、絶大な利権が発生して更に目減りする。
どうしても優遇する必要があるのなら、やって良いのは減税である。
ハナから補助金ありきで試算する行為は、BEVの実力に対する勘違いを誘発させるばかりか、忌避すべき補助金という悪の制度への感覚を麻痺させる事に繋がる。
これが、「阻害する行為」である。
補助金政策というのは、前述した様に絶大な利権を生み出す。利権によって自分だけ得をしようとするのが左翼の本性である。この様にして事実を詳らかにすると、左翼というのは詐欺師の一形態である事が分かろう。
補助金を出す左翼政府。補助金を肯定する左翼メディア。何方も碌なモノでは無い。
ところで欧州自動車メーカというのは、ある意味では日本メーカに対して連戦連敗である。ここ30年以上1勝も出来ていない。
何の事かというと、排ガス浄化と熱効率向上である。
1980年代の終わり頃、欧州勢のエンジンはこの2項目において日本勢に対し、圧倒的な差を付けられた。そこで取り出だしたのが燃料電池車(以下、FCEV)である。
ヤツらは言った。「これからの時代は燃料電池だ。エンジンは過去のモノになる」と。
トヨタが初代プリウスでハイブリッド車(以下、HEV)を実用化しても、「そんなのは燃料電池を実用化する迄の繋ぎにしかならない」とタカを括っていた。
そして、燃料電池の実用化に失敗した。
その間、日本勢はせっせとHEVの技術開発を行い、特許をビッチリと押さえてしまった。欧州勢がFCEVに目が無い事を理解した頃には、絶望的な差が付いてしまっていたのである。
因みにベンツのAクラスに使用していたプラットフォームは、先代まで水素タンクを搭載するスペースが(無駄に)設けられていたが、現行になって遂に消滅した。こういうのを「ダサい」と言う。
そこから先は怒涛の連戦連敗である。
ディーゼルで不正をやらかして自滅し、小排気量ターボは大した効果が無く、マイルドHEVを「あっ!」と言う間に諦め、コソコソとFCEVに再チャレンジしつつ、引用した記事が報じている通り、BEVシフトからの大リストラである。(※補足①)
そもそも、何故に欧州勢は日本製HEVと必死になって戦うのか。
排ガス浄化は目処が立っていただろうし、ドライバビリティやパフォーマンスに関して欧州のICEは優秀である。燃費が良いからと言って、日本製のHEVが大人気だったという訳でも無い。
にも関わらず、何故にICEを捨ててBEVなどという自傷行為に走ったのか? という事である。
それ程までにCO2を削減したかったのか? いやいや、彼等も立派な技術力を持つ自動車メーカな訳である。その様な行為には何の意味も無い事など十分理解している(多分)。日本勢がHEVで「こんなにCO2減らしたw」などとバカをやっていようが、そんなものは鼻で笑って無視すれば良かったのである。
と言うか、何故に日本勢はバカみたくCO2を削減しようとするのか。
本当にバカなのだろうか。
いやいや、HEVの様に高度な技術を実用化するなど、バカに出来る芸当では無い。日本勢だってCO2削減の愚かしさは百も承知である(おそらく)。
自動車メーカがバカである可能性は限り無くゼロに等しい。にも関わらずバカをやる理由は一つしか無い。
「やらされている」のである。(※補足②)
自動車メーカ、もっというと、自動車工業会の様に巨大な企業集団にバカを「やらせる」事が可能なのは、それ以上に大きく、且つ、絶大な権力を有する組織である。
即ち、政府であり、メディアである。
左翼とは詐欺師の一形態であるが、絶大な権力を保有する政府やメディアが左傾化=詐欺師と化したらどうなるか。地獄絵図となるのは明白であろう。
生命、健康、環境、人権、自由、弱者、少数派、etc.
何かと理由をでっち上げ、頼んでもいないのに守るだとか保護するだとか言い始め、その為にはこれこれこの様な施策を政府が主導すべきという風に転がし、ああいう規制やそういう補助が必要などと騒ぎ、生み出された利権をチュウチュウと啜る。
その原資となっているのは、大多数の大衆が納めた税金である。
「EVシフト」とは、左翼が描いた地獄絵図に他ならない。引用した記事から抜粋してみる。
「人為的に排出されたCO2によって地球が温暖化している」
「それによって気候そのものが好ましくない方向に変化している」
これは、頭のてっぺんから足の爪先まで何の根拠も無い嘘である。この嘘の目的がシルヴィア・コッティング-ウール氏の発言に現れている。
「電気の供給量を需要に合わせるのではなく、需要を供給量に合わせるべきだ」
即ち、「一般大衆には、自由にエネルギーを使うなどという贅沢を許さない」という事である。
生命、健康、環境、人権、自由、弱者、少数派、その様に耳触りの良さ気な言葉を錦の御旗に奇声を布く。(「規制」の誤変換だが、敢えて訂正しない)
それによって生み出される利権に群がる一方で、大衆を支配し搾取すると共に不利益を強いる。
これが左翼であり、全体主義者の本質である。
化石燃料や原子力を悪しとし、クソの役にも立たない再生可能エネルギー優遇で利権を啜りつつ、大衆にはエネルギー使用制限を強いる。
或いは、窒素化合物による悪影響をでっち上げて畜産業を悪しとし、自分達は肉を食う一方で大衆には虫を食わせる。
BEVはICE車に対して経済合理性で大きく劣る。もしもこの先ずっと、ICE車に対する規制を大衆が受け容れ続けるならば、自動車を所有出来る人の絶対数が大幅に減る。そうなると、自動車によって与えられていた移動の自由を多くの人が失う。自動車の製造・販売数が激減する事により、社会全体の経済が大幅に後退する。
生命だとか健康だとか環境だとか人権だとか自由だとか弱者だとか少数派だとか、その様なものを守る上で最も重要なのは経済力な訳だが、それの発展を阻害するのが左翼、全体主義者という存在である。
「EVシフト」は、現役世代である我々の責任として阻止しなければならない。(※補足③)
※補足①:欧州勢の連戦連敗と日本メディア
欧州勢が怒涛の連戦連敗を喫した相手とは、詰まるところトヨタのTHSであるが、その様子を日本の反日左翼バカメディアは何と報じたか。
「HEVはガラパゴス」
「最先端はディーゼル。欧州のディーゼルは素晴らしい。日本は出遅れた」
「これからはダウンサイジングターボ。大排気量NAなど古い。日本は出遅れた」
「これからはマイルドHEV。日本のHEVが有利な条件は限定的。欧州・・・、あれ?」
そして、今はこう。
「これからはBEV。エンジンはもう無くなる。日本勢は出遅れた」
※補足②:自動車メーカは「やらされて」いるのか
仕事の雑談で、社内外問わず自動車メーカの動向が話題に上る事がある。
「これからは日本も皆んなEVになるんですかね?」と聞かれた場合、私は一応この様に”擁護“する。「自動車メーカはやらされてるだけですよ」と。
だが、実際のところはどうなのか。日本経済にとって無くてはならぬ存在であるトヨタでさえ、FCEVの補助金を否定はしていない。CJPT関連にしても、タンマリと補助金が出ている筈である。フォルクスワーゲンに較べれば1京倍くらいマシだが・・・。
※補足③:EVシフト
別に、補助金みたいな優遇策に依らず、ICE車に対する不当な規制も無く、自然とBEVの販売台数が増える分には何の問題も無い。バッテリー技術が向上し、ICE車に取って代われる領域が増える事もまた然りである。
但し、もう一つ気を付けなければならない事がある。それば、バッテリーの原材料採掘から製造に至る過程で行われている数々の人権侵害である。そういった非人道的な手法による競争力向上を、我々は絶対に容認してはならない。
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