「最低賃金」という最低の発想
「現代に復活するマルクス主義…経済成長がない「脱成長」の世界で起きる恐ろしい現実」
(幻冬舎/田村秀男)
引用した記事を書いた田村氏は、「産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員」という、舌を噛みそうな肩書きを纏っているが、一般に保守という体になっている産経新聞の記者も、この通りの為体である。
一般に、労働力というのは商品である。どうしても違うという事にしたい者も存在するが、如何に詭弁を弄したところで、「事実」が変化する事は無い。
商品の価格というものは、その商品自体の質と、需要と供給のバランスによって決まるものである。
そこに「最低賃金を幾らにせよ」などという、要らんモノが絡むとどうなるか。
価格によって需要と供給の均衡が保たれ、誰もが少しでも自分の商品価値を上げようと努力している状況に、水を差すだけである。
愚衆は政府に賃上げを求める。左翼、全体主義者が内心で「(`∇´)ニタァ」と笑い、それをやるから自分に投票しろなどと言って湧いてくる。その様にして政治の中枢にまで左翼が入り込む。
古今東西において政府が最低賃金を定め、それで何かが解決した事例というのは存在しない。(存在する体にはなっているかもしれないが)
政府機能が肥大化し、必要以上に税金を徴収される一方で、左翼政府の放つ「最低賃金砲」によって、労働市場が破壊される。
この「砲」を打ちたがっているのが共産党やら社民党だという点からして、国を破壊する上で如何に有効な手段であるかが窺い知れるというものである。
引用した記事にこう書いてある。
全くもってその通りなのだが、政府の定める最低賃金の醜悪さを理解していないヤツが言ったところで、お前は本当に意味を分かっているのか?という疑念しか湧いてこない。
もう一つアホ丸出しの意見が書かれているので、抜粋してみる。
先ず、収益機会を追求する行為に何かこう、ちょっと汚い感じのナニかが含まれているかの様な言い分だが、コレがもう話にならない。
善悪の区別も覚束無いアホである。
資本主義の本質とはどの様なものか。
1.全ての人は私有財産権を有する
2.何人たりとも私有財産権を侵害してはならない
これが資本主義の根幹である。
例えば、ある人が牛乳を買いに牧場を訪れるとする。
買う側はなるべく良いものを安く買いたいが、余りにゴネ過ぎて売ってもらえなくなるのも困る。
売る側はなるべく低コストで生産し、なるべく高値で売りたいが、余りに無謀な価格設定であるが故に、別の牧場に客を取られても困る。
この様にして、双方の利害によって価格が決まる。
これが私有財産権を侵害されていない状態である。
ここで別の牧場が、品質はそこそこだが、その分生産コストを抑えて半額で提供し始めたらどうか。知恵と工夫によって競争に打ち勝つという事である。
これも私有財産権を侵害されていない状態である。
更に別の牧場が、価格は倍だが高品質な製品を提供し始めたらどうか。高くても良いものをというニーズを掘り起こした訳である。
これも矢張り、私有財産権を侵害されていない状態と言える。
更に更に、別の牧場が赤字覚悟で顧客囲い込みの為に、無理をして激安で製品を提供し始めたらどうか。もしそれで品質が相応に確保されており、何とか採算を合わせる事が出来て事業を継続出来るなら、それは自由である。
これも私有財産権の一側面である。
またまた更に、別の牧場が水で薄めた牛乳をパッキングし、「その様な製品ですよ」と公表して信じられないくらい安価で売り始めたらどうか。
有害な製品を作った訳では無い。もしその様なモノが売れるなら、それはそれでニーズの掘り起こしに成功したという事である。
私有財産権が守られているからこそ、この様な突拍子も無い選択も可能な訳である。
(まぁ、売れないとは思うが。)
では、私有財産権を侵害するとはどういう事か。
例えば、ある牧場が事実無根のデマを流布し、別の牧場で生産された牛乳が売れない様にしたらどうか。デマを流された牧場からすれば、時間と労力を割いて生産した牛乳の価値が、不当に貶められた訳である。
これを私有財産権の侵害と言う。
ここでデマを流された牧場が、デマを流した牧場に夜襲をかけ、製品を盗み出してそれを売ったらどうか。これはもうそのまんま、資産を強奪した訳である。やられたからやり返しましたとか、その様な問題では無い。
これも私有財産権の侵害である。
或いは、大手牧場同士が結託し、組合を結成して価格決定権を牛耳り、組合に入らないと飼料などの入手を安価に出来ない様にしつつ、小規模な牧場が対応出来ない様な低価格を義務付けたりしたらどうか。
一見すると低価格にするというのだから、買う側からすればメリットがある様に思うかもしれない。しかし、その様にして小規模な事業者を潰し、新規参入を阻む状態が長く続いても尚、メリットばかりと言えるだろうか。
価格決定のプロセスや事業継続の為に必要な経済活動に対し、何らかの理由をこじ付けて第三者が介入する。
これも私有財産権の侵害に当たる。
では、政府が産業の保護などとのたまい、乳価なるモノを生乳業界に押し付けたとしたらどうか。
買う側からすれば、価格交渉という当然の権利を侵害される訳であり、売る側からすれば価格を決めるという当然の権利を侵害される訳である。
これこそ、私有財産権の侵害である。
利益を追求する行為に対し、「強欲」「無慈悲」という様な印象をこじ付ける。
これは、典型的な資本主義を貶める為のプロパガンダである。
本来の資本主義とは、断じてその様なものでは無い。
私有財産権を認めるという事は、他者から労働の成果を得るにあたり、相応の対価を要するという事であり、詰まりは搾取を許容しないという事である。
企業が人を雇うにしてもそうである。
低賃金で過負荷労働をさせる行為は労働力の搾取であるが、資本主義においては搾取を許さない。労働力を商品の一形態と認識し、人が労働力を提供する為の身体、頭脳、時間を私財と認め、産み出された付加価値に対して相応の対価で以って答えねばならない。
それが私有財産権を認めるという事であり、それこそが資本主義の根幹である。
※補足①
「同一労働同一賃金」という思想がある。
悪の思想であり、正に私有財産権の侵害である。
例えば私がほぼ毎朝訪れるコンビニでは、バイトの女性がレジに2人で立つが、レジは3つある。
そこで彼女達がどの様にするかと言うと、何方か1人が2つのレジを交互に使う。最近のセブンイレブンでは支払いを客が端末操作し自分で行うが、客が支払いしている間、空いたもう片方のレジに次の客を呼び込むのである。
並んでみると分かるが、ちょっと驚くほどのスピードで客が掃ける。
この様な働き方をする者もおれば、そうで無い者も居る。
「同一労働同一賃」というのは、この様な工夫を無視し、賃金格差を与えないという事である。
少しでも工夫し、顧客満足に繋げようとする努力を搾取するという事である。
これも私有財産権の侵害に当たる。
※補足②
日本と言う国は、正社員を軽々に辞めさせられない社会である。
これが、次のような事態を産み出している。
1.軽々に辞めさせられないので、軽々に正社員として雇えない。
2.企業が軽々に雇ってくれないので、簡単に就職できない。
3.簡単に就職できないから、辛くても辞められない。
4.辞められないのが分かっているから、労働力を搾取できる。
雇用に関する規制がこの様な状況を生み出している。
政府による私有財産権の侵害である。
※補足③
価格というのは需要と供給のバランス調整に重要な役割を果たす。
この機能を阻害するのが「政府の定める最低賃金」である。
低付加価値労働に最低賃金で縛りを設ければ、雇用側は数少ない従業員に過負荷労働を強いるしか無くなる。
一方で、企業が雇用者数を絞るしかないから、低付加価値労働で良いから仕事にありつきたいという人々の雇用機会が減る。
これも政府による私有財産権の侵害である。