【超短編小説】人生アンダーTHEリビドー
「どうした、仕事受けないのか」
野球帽の男が俺の手の中で震えるケータイを見ながら笑った。
「冗談じゃねぇ、あんな激坂の上まで行きたくねぇよ」
俺は吐き捨ててケータイを閉じた。
俺じゃなくても他の誰かが受ける仕事だ。若いか、馬鹿か、何も知らない、そのどれかに当てはまる奴か全部に当てはまる奴だ。
若い新人って言うのはそういう事だ。
しばらくケータイの画面を見ていると、俺以外の誰かが仕事の依頼を受けたと言うメッセージが出た。
つまり、そういう馬鹿がいたと言う事だ。
ケータイをポケットの押し込んで立ち上がると野球帽が「なんだ、もう上がりか?」とヘラヘラしながら訊いた。
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