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【短編小説】天網ドロップ

 落ちていく最中に気を失う、と言うが嘘だと言う事を知った。
 もしかしたら不眠症の人間の様にどこかで一瞬くらいは気をどこかにやっているのかも知れないが、少なくともいまはこうして覚醒している。
 これが覚醒している夢だとしたらそれはそれで仕方ないと思うが、取り敢えずは覚醒している前提で話を進めよう。


 もうわかっていると思うが、俺は今こうして落下している。
 どこからか、と訊かれるとアトラスだとしか言えない。アトラスを知らない田舎者の為に説明すると、それは軌道エレベーターと言うやつで巨大なバベルの塔みたいなものだ。
 バベルの塔くらいは知っていると思うが、万が一バベルの塔も知らない無教養な人間もいると申し訳ないから説明するが、でっかい塔だ。

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