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【超短編小説】キッスTHE缶狂う

「無理して飲まなくていいのに」
 ビールの缶を置いてそういうが、その微笑みには下戸に対する憐憫と愛想と気遣いが万遍なく散りばめられていてどうにもむず痒く少し不愉快な気持ちになった。
「別に無理してなんかないよ、まだ大丈夫だから」
 ビールと大差の無いアルコール度数をした甘いジュースをひとくち舐める。桃の味をした硬い水の向こう側にアルコールがいる。喉の奥に流れて行ったアルコールが熱をもってゆっくりと脳味噌のあたりまで徘徊する。

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