【超超短編小説】ニコ・ロビンで抜いたネコ
ファミリーレストランの配膳ロボットがネコの顔をしている。
人類の多くは根本的にネコに対して強気に出られないと言うのを逆手に取ったものらしい。
確かに人型であると何か文句を言いたくなるが、ネコなら仕方ないと思う。
職場の床を掃除するのもネコの顔が表示されたロボットだ。
ロボット側が邪魔なのであっても、ついついこちらが避けなければと思ってしまう。
そうやって世界はネコで溢れ始めた。
車やバイク、バスや電車、果ては飛行機までネコの様な顔が表示される。
ネコをぶつけるのは厭だと言う気持ちが、譲り合いの精神を産んで交通事故は圧倒的に減った。
飛行機はバードストライクが減ったと言うが本当だろうか。
兎にも角にも、世界はネコを中心として和やかに周り始めた。
当然ネコ顔の男女がモテるようになる。
狭小住宅はネコの額住宅と言い換えられて飛ぶように売れた。
だが俺はそんなものどうでも良くなってきた。
ネコも好きだがアホっぽい顔をした犬も好きだし、いまは昼間に食べたラーメンの量が思ったより多くてまだ苦しい事実と戦っている。
俺の体調が悪いのかと思った。
全員死ね、と言う強い憎しみを持って今年もいっぱい書いていきます。
人気のない山の中を全裸で乱舞するとか便所の100万ワットとか好きに言えばいい。
誰も俺を待ってないんだろ、ムカつくぜ。
そうやって俺たちの皿を乗せてネコ型ロボットがどこかへ消えていく。
俺たちの未来がそこにある。
ネコ型の霊柩車。
ネコ型の火葬。
ネコ型の煙。
ネコ型の葬列。
ネコ型の人たち。
ネコ型の墓。
ネコ型の柄杓でネコ型の水を掛ける。
ネコ型の線香とネコ型の花。
許し。
ネコネコレマサバクタニ。
俺のネコ型をした骨がネコ型の配膳ロボットに乗せられて遠ざかる。
誰も俺の骨を待ってない。
喉猫が鳴く。
やーん。
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