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波打ち際ブンガク

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波打ち際ブンガク1年目が500円で読み放題! 360本くらいのオリジナル短編小説(1000字前後)がいっぱい。しかも読みきりばかり。 扉絵はAI出力!これはお得だ!
マガジン購読で去年の作品が読み放題! しかもオリジナル作品!二次創作無し! 読んで飛べる読むクスリ…
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2023年5月の記事一覧

【超短編小説】嘘つき

 ホテルの窓を開けると潮の匂いが部屋に流れ込んできた。何も見えない闇の中で、恐らくは波が…

にじむラ
1年前
6

【短編小説】乾涸びた熱帯魚

 全く馬鹿げているとは思うが、ピアスと言う肉体的な傷の他に何かを遺したいと思うならその精…

にじむラ
1年前
5

【短編小説】呪詛之王

 鈍器にも似た夏の太陽が憎しみのこもった光で薄く青い布を引き裂く。  俺は目を覚ます。  …

にじむラ
1年前
3

【超超短編小説】飛燕

 俺は明晰夢を見ない。きっと怠惰だからだろう。もしくはそれが夢か現実かを知りたく無いか、…

にじむラ
1年前
5

【超短編小説】咀嚼

 どうにか寝床から立ち上がり、ソファに足をぶつけながら便所に辿り着くと同時に、昨晩訪れた…

にじむラ
1年前
2

【超短編小説】カレーうどん程度のシミ

 さっきまで電話を片手に立ち上がったり頭を下げたりと忙しかった入生ハードモード太郎が通話…

にじむラ
1年前
4

【短編小説】いつも心に生麦事件

 それなら死ぬしか無い。  チェーンソーのワイヤーを引くと一発でエンジンが回った。こう言う時だけ目覚めが良いんだなと笑いかける。  チェーンソーは素知らぬ顔でブツブツと呟く。まだ言語を与えられない生命。  アブラーゲ蕎麦太郎はそのチェーンソーを首に当ててトリガーを引きながら、マンションの屋上から後ろ向きに墜落していった。  さようなら、きみ。

【超超短編小説】走査線に願いを

 走査線の向こう側に行くために俺はビデオデッキに手を突っ込んでみたが無駄だった。  初恋…

にじむラ
1年前
2

【超超短編小説】電車

 男は死んだ。  それは別に大きな理由があった訳でも、強い衝動があった訳でも無かった。自…

にじむラ
1年前
7

【超短編小説】包茎゛胎内生活

 幼い頃に読んだ絵本かなにかで、巨大なクジラに飲み込まれた男が、そのクジラの腹で生活をす…

にじむラ
1年前
6

【超短編小説】ケツから何番目?【ほぼ日記】

 思えば生まれた瞬間からケチはついていたのだ。  早生まれと言う時点でビハインド、出遅れ…

にじむラ
1年前
2

【超超短編小説】夏

 キッチンに置かれたままのバナナは黒ずんでいた。  窓の外を徘徊する夏の気配がうるさい。…

にじむラ
1年前
4

【短編小説】回転寿司

 男は死んだ。  きっとイクラ軍艦のひと粒に爆発性の何かが混ぜられたのだろう。  俺たちは…

にじむラ
1年前
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【短編小説】1/4000

 空調の風が当たる位置に立って身体を冷やす。 「あまり冷やし過ぎるなよ」  GKジェット佐久間がトランプを切りながら笑いかけた。 「ちょっとは休ませろよ」  俺は目を閉じて風を受けながら答える。