ヴェーバーとデュルケームの違い
近代的な社会学は、19世紀末から20世紀頭のドイツとフランスで成立しました。この創始時期の大者として
ドイツ:マックス・ヴェーバー
フランス:エミール・デュルケーム
の両巨人の方向付けが、その後の研究に与えた影響は少なくありません。このnoteでは、
ヴェーバーについては「社会学の根本概念」を見直す|鈴木良実|note
デュルケームについては社会学の成立のための苦労|鈴木良実|note
で書きました。
さて、ここで両者の方法論と、動機について、違いを考えて見ました。
私の感じた違いは、哲学との距離感です。
デュルケームは
社会学を哲学から独立させる
ために努力しています。なお、心理学や歴史学との違いも強調し、しかも「科学的」な学問として、独立させることに注力しています。
一方、ヴェーバーは、歴史学や心理学とは、別の立場を示しながらも、哲学には、ある種の敬意を感じます。例えば、名講演「仕事としての学問」の中で、古代ギリシャの哲学者プラトンの「洞窟の比喩」を引用しています。
もう少し方法論で議論すると、ヴェーバーは
理念型の中での個人の考え
に注目して検討しています。
しかし、デュルケームは
社会の拘束に注目
しています。例えば、犯罪に付いて検討するなら
ヴェーバー:社会環境の理想化した「理念型」の中で
理想化した犯罪者の心と行動について検討デュルケーム:社会の拘束の逸脱として犯罪を検討
という感じです。
こうした考え方の違いに
根本原理を見いだそうとするドイツ人気質
個別の特性を重視するフランス人気質
があると思ったのは、私の偏見でしょうか?
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