山本七平とは?
このnoteで何度か、「山本七平」について取り上げています。彼の「空気」「常識」などは(現在)日本の問題点を、あぶりだすための、優れた概念装置です。
しかしながら、彼の議論展開には
臨在感的把握
日本的状況倫理
などの独自性あふれる、分かったようで判らない概念装置も出てきます。
これが悪く働いたのが
百人斬り競争問題
です。彼の論理は、裁判の場では通用せず
戦時中の戦意高揚報道の
被害者である戦犯者の名誉回復
は裁判的には失敗しました。
また、知識人たちでも
山本七平は直感的に本質を把握する
しかし論理的な議論は今一
という評価が多いようです。
さて私が、山本七平に対して尊敬することは、以下の通りです。
戦前・戦中・戦後の過酷な体験
37歳の若さで山本書店を経営
聖書の研究者
40代からの多様な日本人論展開
これらの力で
戦後昭和の左翼的知識人の
「空気」圧力に対する砦
として大きな働きをしました。
しかしながら、私は彼に対して以下の不満があります。
日本人論なら仏教の理解が欲しい
西洋文明にはプラトンなどの哲学理解が欲しい
しかしながら、私自身を反省すると
仏教やプラトンの理解は60過ぎてから
です。ここまでの時間が必要でした。また
大学院で論理思考訓練を受けた
ことも有利です。
こう考えると
山本七平は大きい
と思いました。