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源氏物語ー融和抄ー

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『源氏物語』を独自の視点で掘り下げ、紫式部という女流作家の思想にアプローチしています。
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#大弍三位

源氏物語ー融和抄ー山吹の咲く頃に

源氏物語ー融和抄ー山吹の咲く頃に

 若紫のことを、もう少しお話ししておきたいと思います。
 昔読み通した頃には全く気にとめていなかったことが、紫の上の幼少の頃の様子を描く、紫式部の目線の柔らかさです。
 今回読み直すと、その描写の中に顕われる、くすぐったいような爛漫さ、それが愛おしくてたまらない様子が胸に迫ってくるのです。
 それが不思議で、書き進めながらもずっと心の中にひっかかっていたのが、ある日突然こう思ったのです。
 娘の大

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源氏物語ー融和抄ー紫

源氏物語ー融和抄ー紫

 紫式部がどのような環境の中にいたのか、その生い立ちを整理してみます。
 970年、または973年生まれ。父は藤原為時。母が早くに亡くなり、父の元で暮らします。為時の系譜は、藤原高藤の父良門からスタートすると、良門→利基(高藤の兄)→兼輔→雅正→為時、となります。
 夫の藤原宣孝は、良門→高藤→定方→朝頼→為輔→宣孝、となります。
 父も夫も藤原良門流から派生したところに生まれ、結束した一族の中に

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