【書評】力戦調の将棋を指したい人へ
本書は将棋のとある戦法を解説した本である。その戦法は筋違い角という。
▲7六歩 △3四歩からいきなり▲2二角成と角交換をし、△同銀に▲4五角と、通常良いとされる筋とは違う場所に角を打つのだ。本書は筋違い角の使い手である著者が筋違い角を詳しく解説している。
筋違い角だって?そんな戦法が存在するのか?どうせアマチュアにしか通用しないB級戦法だろう!
そう思う人もいるかもしれない。
確かにトッププロの対局には出てこない。しかし、当時はプロだった著者の実戦で用いられていて、何回か勝っているということからも構想力や実戦の力があれば十分にトッププロまではいかなくても並のプロには通用できるのではないかという気がしている。というかそれを励みに私は筋違い角を指している。
いきなり角交換したら相手は自分の将棋が指せずに嫌がるのでは?
はい、嫌になるでしょう。
ですから普段の将棋仲間相手とではなく大会など一発勝負の時に用いてもらえればと思います。相手が角道を開けているのからといってすぐに角交換して筋違い角ばかりの対局をしていると、リアルな将棋仲間はあなたを敬遠してしまうおそれもあるのでリアルな対局の時には控えめにしましょう。
その他のマイナーな戦法に比べれば
筋違い角はまだ理論的だし、愛好家も多い戦法である。使いこなすには初段以上の棋力が必要と思われるが、使いこなすことができれば格上の相手を倒すこともできる。
筋違い角を普段から指している人の復習用や
変わった将棋を指してみたくなった人にはオススメの本だ。ぜひ実戦譜を盤に列べながら筋違い角の指し方を会得してもらいたい。