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今年はヨウジヤマモトさんとの仕事が一段落してから、ずっと少女を描いている。一足早く歌人の野口あや子氏と画商さんにお見せしたところ、ふたりとも「思ったより幼い!」「若い!」という反応だった。まあそうだよね。こうまであどけない少女は描いてこなかったもんね。 話は変わるが、私が生まれて初めて感動した絵画はルノワールのルグラン嬢という肖像画だ。 8歳の時に母に連れられて行ったブリヂストン美術館で対面した作品。あまりの愛らしさになんで絵の具とキャンバスだけでこんなに人を可愛く描けて
がっかりすることがあるので書いておく。 たまに「(明るい絵と暗い絵とを)よく描き分けられますね」と言われる。それは見当違いだ。描き分けてるんじゃなくて、自然とそうなっちゃうのである。 私の描く女性画には ・自分を描いた絵 ・モデルさんを描いた絵 のふたつがある。登場する人物への心の寄り添い方が違うから、自然と出てくる絵も違ってきちゃう。 <自分> <モデルさん> 極端だという自覚はあるけれど、断じて描き分けてはいない。まず描きたい絵が自分の中で出来て、その後その絵に
飼っていた白い鳩が亡くなった。夏の暑い日だった。ケージの中で苦しみのた打ち回っていたのに最後はその気力も無くなったのだろう、穏やかに息をひきとった。 軽くなった亡骸をそっと両手で抱えて、カメラのシャッターを切る。描き残すためだ。描き残す。何故そうするのか。 「亡くなったものをモチーフにすることは、罪ではないのか?」 庭に鳩を埋めた後、撮影した写真を確認しながら私は自問していた。自分が描きたいからという欲求だけで絵にしていいのか。相手は鳩の死体で何も感じないことはわかって