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読書感想「世界一訪れたい 日本のつくりかた」│デービッド・アトキン -②
本書をざっくり要約した前回記事はこちら
この記事では、私が本書を読んで学んだことの抜粋と、移住後の活動にどのように活かせそうかについて書いています。
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学び ①(それってあなたの感想ですよね?とは言わせない)
まず、著者のデービッド・アトキンソンさんの略歴は下記にまとめましたが、優秀なアナリストってデータをこんな風に活用するんだと学びました。
オックスフォード大学で日本学を学んだ後、
ゴールドマン・サックスでアナリストとして活動し、2006年に共同出資者(partner)に選任される。
退社後、日本の国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社して、2011年、同社の会長兼社長に就任。
日本政府観光局特別顧問や成長戦略会議の議員なども務めていて、
日本の文化財を「補助金で保護すべきもの」から「稼げる観光資源に」
することで政府の意識を変えていき、文化財をより大切にできる状況をつくる等の活動もしています。
経歴を見ただけで何となく想像できてしまいますが、、提言の説得力が凄まじいです!
でも、どんなデータを収集するのか、そのデータをどのように分析するか等は、その人の知見・思想みたいなものが大きく影響するので、
結局のところ「それってあなたの感想ですよね?」は有効で、全てを鵜呑みにせず、自分が感じたことを大切にしたいなとも思います。
学び ②(観光産業の規模は、既に自動車産業を上回っている)
かつては
「観光産業は途上国、特に南の国の産業」というイメージがありましたが、
現在の先進各国においては
「観光産業はエネルギー、化学製品に次ぐ 第3の基幹産業」
にまで成長していて、その市場規模は約170兆円になっています。
海外旅行をする人の数は
1950年は2500万人だったのが
2015年には11.9億人にまで爆増していて、
60年以上途切れることなく成長し続けています。
そして、2030年にはその数は延べ18億人になると予測されていて、
地球上のおよそ5人に1人が海外旅行をする大観光時代がもう目前です。
観光産業は、世界の中でこれまで長く成長し続け、今後さらに成長していくことが見込まれている産業です。
学び ③(自然こそが、日本がもつ最強の伸びしろ)
そんなスペシャルなメガ産業において、
日本は世界中を見渡してもとても強力で希少な優位性をもっていて、
しかもまだまだ伸びしろがあるそうです。
「観光大国」と評価を受ける国は「自然・気候・文化・食」の4つの資源に恵まれていることが条件だそうですが、日本はその全てを満たしています。
そして、中でも「自然」こそが日本がもつ一番の強みであり、
「自然を活用した体験観光をもっと発信していくこと」が今後の日本の成長戦略を実現していく上でとても重要だと提言されています。
(「文化・食」に関する発信と比較してできていない。)
なお、「自然を活用した体験観光」に対するニーズの規模は「文化・食」と同程度にあり、しかももっと若い年齢層にもリーチできます。
しかも、「自然を活用した体験観光」を目的として訪れる観光客は、
「文化・食」が目的の観光客と比較して滞在日数が長くなる傾向がある為、
その分、使う金額も大きくなるというデータもあります。
情報発信は「自然を活用した多様な体験観光」をメインにして、
その合間に「文化・食」も楽しむというように、
旅をトータルにコーディネートすることを意識して行うのが、
日本の強みを最も効率よく発揮する方法の一つだという提言はさすがだし、これは私が移住後に行う個人活動のレベルでも意識できるなと思いました💡
(宿泊施設もとても大切)
学び ④(「どの国から来てもらうか」がいちばん大切)
どのような情報を発信するのが良いかはイメージできましたが、
だれをメインターゲットにしたら良いのでしょうか?
この本ではそれも明確にされていて、
「長期滞在をして、日本にたくさんお金を落としてくれる上客とも言うべき外国人観光客をより多く誘致するべき」とされています。
結論、メインターゲットにすべきは「(アジアではなく)欧米の観光客、特にドイツ人観光客」なのだそうです。
ドイツの人口は約8200万人で、国民のほぼ全員に相当する人数が海外旅行をしているそうです。
2016年にタイを訪問したドイツ人観光客は年間84万人でしたが、
同年、日本を訪れたドイツ人観光客は18万人でした。
日本の観光資源はタイよりも恵まれているので、
力さえ入れたら、タイを上回ることはできると著者は断言しています。
なお、フランス人はアニメなどを通じて日本に親しみを持つ人が多く、聖地巡礼などで日本を訪れている人たちが多いイメージがありますが、実際は「あまり海外旅行をしない国民性」だそうで、イメージとデータの乖離が大きいのだとか。
また、現在の訪日外国人観光客の約85%はアジア人ですが、
アジアからの集客は既にかなり順調にできていると分析されていて、欧米からの観光客と比較して、伸びしろは大きくないと著者は指摘しています。
さらに、アジア人の訪日観光客は、欧米人のそれと比較して滞在日数が短く、それに伴って日本に落とす金額も小さいというデータもあるようです。
まとめ?
最近は有名な国内観光地での「オーバーツーリズム」の話題も多く、
そもそも、外国人観光客がたくさん来てくれることは望ましいことなのか?という議論もありますが、
結論、外国人観光客の誘致という選択肢を軽視・排除するのは勿体なさ過ぎると思います。
(異論はあるでしょうけど。。)
まして、少子高齢化・過疎化に伴って後継者不足が深刻化して、
消滅の危機をリアルに感じている地方では、そんな贅沢は言っていられないのかなと思います。
まずは「地域資源、特に自然を活用した体験観光」を産業化して自力で稼げるようにしていくプロセスを発信し、実現していくことが、
移住を検討している国内の多くの若い人達にも魅力的に映るのではないかなと思いましたし、私個人にも細やかなお手伝いができるかもしれないと思いました。
ぶどう山椒、あららぎ島(棚田)等、、
私の移住先の候補地の和歌山県有田川町でもワクワクするような自然を活用した体験観光ができるようです。
今月、行くのがとても楽しみです!
ということで長くなってしまいましたが、何とかまとまった!‥かな?(汗)