短編の方が向いてるかも:読書録「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち」
・ブラック・ショーマンと覚醒する女たち
著者:東野圭吾
出版:光文社
コロナ禍の観光地で、兄の殺人事件の謎を追う元・マジシャンの活躍を描いた「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」の続編。
前作は長編でしたが、今作は6篇の短編が収められた短編集になっています。
このシリーズ、主人公の元マジシャンの<偽悪的>なスタンスがある種の読みどころかと思いますが、前作は面白かったものの、シリーズにするほどのインパクトは感じませんでした。
すっかりストーリーを忘れちゃってるくらいw。
でも、短編集の本作はなかなかいいです。
これくらいの塩梅で策を主人公が巡らせるくらいがちょうどいいんじゃないかなぁ。
まあ、東野さんもそう思ったのかもしれませんが。
トラップハンド
リノベの女
マボロシの女
相続人を宿す女
続・リノベの女
査定する女
主人公は「トラップハンド」というバーを経営してて、そこを訪れる女性客が事件の焦点になります。
ワトソン役は前作同様、不動産会社に勤める主人公の姪。
それぞれの短編は独立してるけど、最初と最後が同じ登場人物を主役し据えてて、ゆるい連作にもなってる…ってところです。
「覚醒する女たち」
…と言うほど、登場人物の女性たちが劇的変化を遂げるわけではありませんが、それぞれが「何か」を企もうとしているのは確か。
主人公はその企みを明らかにするのですが、読後感は驚くほど悪くありません。
<善悪>を言えば、決して善人ばかりじゃない(主人公も含め)んですけどね。
この路線で行くなら、「続編」も読んでみたいかな。
やっぱ推理ものは東野さんは短編の方がピリッとくるなぁ…ってのは言い過ぎ?
まあ、趣味もありますかw。