シリーズっぽくなってきた:読書録「死はすぐそこばに」
・死はすぐそばに
著者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田 蘭
出版:東京創元社(Kindle版)
〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉 シリーズ第5作。
シリーズは全10作を予定しているらしいですから、まぁ折り返しと言うことになります。
こういうシリーズの場合、シリーズを通じてのネタがある場合、少なからずそのネタの方が面白くなかったりするんですけど(「ブラックジャック」w)、このシリーズの場合、ここに来てそちらの方がなかなか興味深くなってきています。
ホロヴィッツさん、やりますな。
あらゆる期待を超えつづける、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉 シリーズ最新刊
テムズ川沿いの高級住宅地の殺人。
容疑者全員に同じ動機が・・・・・・
『カササギ殺人事件』の著者が贈る、現代最高の犯人当てミステリ
テムズ川沿いの高級住宅地リヴァービュー・クロースで、金融業界のやり手がクロスボウの矢を喉に突き立てられて殺された。 昔の英国の村を思わせる敷地で住人たちが穏やかに暮らす――この理想的な環境を乱す新参者の被害者に、 住人全員が我慢を重ねてきていた。誰もが動機を持っているといえる難事件を前にして、警察は探偵ホーソーンを招聘するが・・・・・・。 あらゆる期待を超えつづける〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊!
(Amazonより)
作品の構成としても、今までのシリーズとは少し変わっていて、今回は過去の事件を扱っています。
ホーソーンが事件に関与したのは、2014年
ホロビッツが作品に仕上げようとしているのが2019年
(結局出版は2024年になるわけですがw)
今までは、ホロビッツが事件を捜査するホーソーンと一緒に行動して、現在進行形で事件を追いかけていたのが、本作では過去のホーソーンの捜査(別のアシスタントが付いています)聞きながら小説に仕立てていくと言う形になっています。
従って、人称もホロビッツの1人称だけではなくて、3人称で描かれるシーンも多くなっています。
もちろん、まぁ、そのこと自体がちょっとした仕掛けにもなるんですけどね… 。(小説で書かれていた人物と、実際にあった人物が印象が全然違うとか)
推理小説としては、もう文句はありません。
相変わらず楽しませてくれますし、うならせてもくれました。
ただ個人的にはちょっと設定の方には「?」が無きにしも… 。
事件が起きたのは、2014年ですからね。
ホロビッツが小説に取り掛かった時点で、ネットで検索すれば、事件の概要やその後の成り行きなんかはチェックできたんじゃないでしょうか?
実際途中で新聞記事をある人物から見せられたりもしていますし…
ココはもうちょっと詰めておいても良かったのでは。
ラストの警察の対応についても若干違和感があります。
まぁ、担当した警視の功名心と言う言い訳は用意されていますけど、殺人事件ですからね。
そのまま相手の言うことを裏も取らずに…、やっぱりここはちょっと甘いと思います。
最もこの点は、ホーソーンの正義感のあり方に関する1つの見方を打ち出すシーンでもあるので、ある程度わかってやってたって言うところがあるのかもしれません。
人種差別主義者で、容疑者を独断で暴力的に処罰した疑いのあるホーソーン
そこにもう少し深い色合いが加わった感じがあります
ホーソーンと義理の兄が所属する「フェンチャーチ・インターナショナル」と言う謎の組織
彼らの上司らしきアラステア・モートン
何やらキナくさそうな感じが出て来てて、ココら辺がシリーズとしての面白さを強く印象づける内容になっています。
なんかポリティカルサスペンスっぽい気配も…。
007の続編書いてる人ですからね。
そっちに話が展開してもおかしくないかも…。
と言うわけで早くも続編を心待ち。
早く書いてくれ〜。
#読書感想文
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