「愛の不時着」や「梨泰院クラス」は40代・50代の中年男性ウケが良かったとか。マンマやんw:読書録「韓国カルチャー」
・韓国カルチャー 隣人の素顔と現在
著者:伊東順子
出版:集英社新書
1990年から韓国在住のライターが、韓国ドラマや映画・小説を取り上げ、その背景にある「韓国事情」を解説した作品。
最近の韓国映画・ドラマの盛り上がりもあるし、自分でもチョコチョコ見るようになっているので、少し知識の整理のために読んでみました。
主に取り上げられているのは以下の作品。「○」は僕が見たり、読んだりしてるものです。
○「82年生まれ、キム・ジヨン」(小説、映画)
・「サイコだけど大丈夫」(ドラマ)
○「愛の不時着」(ドラマ)
・「南部軍」(映画)
○「JSA」(映画)
○「梨泰院クラス」(ドラマ)
・ミナリ(映画)
・パラサイト(映画)
・もう死んでる十二人の女たちと(小説)
・タクシー運転手(映画)
・Mine(ドラマ)
・SKYキャッスル(ドラマ)
・賢い医師生活(ドラマ)
・こびとが打ち上げた小さなボール(小説)
・野蛮なアリスさん(小説)
・イカゲーム(ドラマ)
…案外見てないなw。
見てないけど、内容は知ってるってのも多いですけどね。
本自体は読んでて、「へぇ、そうかぁ」ってことが結構多くて、参考になります。
フェミニズム問題、家族関係(家父長制を中心に)、南北関係、米軍との距離感、財閥の存在、格差問題、熾烈な教育問題、不動産問題etc、etc
聞き齧ってることもあるけど、全然わかんないこと(不動産とか)も結構ありました。
一方で内容的に作者個人の経験に偏りすぎてる感もなきにしもあらず。
年代的には多分僕に近い方だと思うんですが、そういう「経験」も重要なんだけど、もうちょっと若い人の意見も知りたいなぁ…と感じなくもなかったです。
ま、ここらへん、作者は意識的にチョイスしてるスタンスでもあるようですが。
<今の韓国はもう何も隠さない。文学作品はもとより、ドラマも映画もありのままを見せるだけでなく、見えないところにもどんどん踏み込んでいく。本質をえぐり出し、晒しながら呼びかける。「おーい、みんなー、大変だよ」。そうしながら、みんなで一緒に希望を見つけようとする。腐りきった社会でも、必ず宝石は潜んでいるから。(後略)>
<「昔は良かったと語るような大人にはなりたくない」とずっと思ってきた。過去の思い出話に浸るなんてナンセンスだと。でも今回はもうそんなのはふっとんだ。だって作品にインスパイアされた記憶の街角に次から次にあらわれる人々がいるのだ。みんなが全速力で駆け寄ってきてくれる。その一人ひとりもまたかけがえのない歴史の証言者なのである。韓国の人のように正直になろうと思いった。何かあったら「おーい、みんなー」と声をあげようと思った。>
ま、僕はまだ「昔は良かったと語るような大人にはなりたくない」と思ってるもんで。
「韓国」は<若い国>だと思ってます。
48年に建国。
50年に朝鮮戦争が勃発し、53年に休戦。
87年の「民主化宣言」までは幾度も政治的なせめぎ合いや暗殺事件等も繰り返しながら独裁体制が続き、
08ー09年には通貨危機で国家崩壊の瀬戸際に。
そしてこの10年あまりでの急激な経済成長。
「民主化」という意味では30年あまり、「経済的変革」という意味では10年余りで「今の韓国」にたどり着くことになります。
この歴史的な激動の背景を知っておくことは、「韓国」を語る上で忘れてはならないことだと。
僕の学生時代まで、韓国はまだ「独裁政治」下にあった…ってことですからね。
本書でも作者はその激しい社会的・経済的な変化に触れていますし、だからこその「ノスタルジー」でもあるわけです。(日本だと「三丁目の夕日」だけど、もっと<近い>時代がノスタルジーの対象になっています)
今、僕の娘はK-POPが大好き。
隣人としてそれは良いことだと、僕は思っています。
でも単純に「かっこいい」だけじゃなくて、その背景にある歴史的な激動(そこには少なからず日本が関与しています)も知ってほしいなぁとは考えてるんですけどね。
こういうのって、「押しつける」もんでもないから、なかなか難しいですけどw。
本書なんか読んでくれると、それはそれで良いと思うんですけど、まあ読まんかなぁ〜w。
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