話が上手すぎて、なんかストーリー忘れちゃうんですよね。:読書録「ペッパーズ・ゴースト」
・ペッパーズ・ゴースト
著者:伊坂幸太郎
出版:朝日新聞出版
いやもう、ホント上手いよね。
何作読んでも、その度に話運びの巧さに感心させられます。
あまりにも上手すぎて、少し経ったらストーリーを忘れちゃうっていう「副作用」も(僕には)あるんですがw。
スラ〜っと読めるけど、話自体は結構複雑だったりしますからね。
「テロ」と「動物(猫)虐待」を材料にして、SF的設定(未来が見える)と「物語中物語」のスタイルで、奔走する主人公の巻き込まれ型冒険を描きます。
まあ、「伊坂幸太郎だな〜」って話。
ご本人も、
<今までの自分の小説の特徴が集まったような物語になりました。>
とおっしゃっております。
「ん〜、なんなの、これ?」
って感じで読み始めたら、スルスル〜とラストまで引っ張っていかれたような感じでした。
もうとても先行きの希望なんて持てなくなった人々。
その人々が、「物語」の力で現実を変えようとする。
そんな物語と言えるかもしれません。
「物語」にはそれだけの<力>があると。
<現実を変える力>が。
小説を読むことが好きな者にとって、それはそれで頷きたくなることなんですが、今起きている「事態」を考えるとき、ちょっとそこに怖しいものを感じたりもします。
「物語」は、それぞれが持つことができ、時にそれは相反する<現実>を求めるものでもあるのだから。
…いや、これもまた、「伊坂幸太郎」的かな?
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