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「ミステリー」は探偵の<過去>にある:読書録「殺しへのライン」
・殺しへのライン
作者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田蘭
出版:創元推理文庫(Kindle版)
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「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズ第3作。
ホーソーンとホロヴィッツはある島で開催される文芸フェスに参加する。
その島では開発絡みで深刻な住民たちの分断が起こっており、その文芸フェスの後援者がその黒幕的存在であった。
さらにその島には、ホーソーンと因縁のある男(デレク・アボット)が住んでいた。
小さな島で錯綜する人間関係が垣間見える中、殺人事件が起き…
というのがアウトライン。
当然、ホーソーン&ホロヴィッツのコンビはこの「殺人事件」を解決するわけですが、読んでて興味を惹かれるのは、この殺人事件以上に、ホーソーンとデレク・アボットの関係性であり、その向こうに見え隠れするホーソーンの「過去」にあります。
実際、事件の解決とは別に、ホーソーンとアボットの「ある決着」があり、アボットからホロヴィッツへの「示唆」によって物語は一旦閉じられることになります。
作者によれば「全10作」となるシリーズとのこと。
一作ごとの「事件」とは別に、ホーソーンを巡る「ミステリー」がシリーズの縦糸として用意され、少しずつそれが明かされていくことになります。
クリスティを思わせる作品ごとの「殺人事件」の顛末も見事なものなんですけどね(「クリスタル殺人事件」をチョット思い出しました)。
すでに4作目も発表されてるようですから、来年には翻訳もされるでしょう。
早いとこ、読ませて欲しいものです。