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「空飛ぶ自動車」も「アンドロイド」も、実現にはまだ時間が掛かりそうだけど:読書録「SF超入門」

・「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門
著者:冬木糸一
出版:ダイヤモンド社(Kindle版)

「未来」を考える時、<SF小説>に触発されたり、参考にしたりするイノベーターは少なくない。
人間は「人間が考えたこと」しか作り出すことはできない。
その観点から古今の「SF小説」を科学分野における<最新キーワード>に基づいて整理し、そのキーワードについて解説しつつ、SF作品の紹介もしよう…というのが本書の狙いでしょう。


正直、「SF小説の紹介本かぁ。しかし結構積読が溜まってるからなぁ」って思いもあったんですが、存外キーワード解説のパートが面白く、スラスラと読んでしまいました。
まあ、こういうの、結局好きなんですよねw。



part1  「最新のテクノロジー」を知る
chapter1  仮想世界・メタバース
chapter2  人工知能・ロボット
chapter3  不死・医療
chapter4  生物工学
chapter5  宇宙開発
chapter6  軌道エレベーター

part2  必ず起こる「災害」を知る
chapter7  地震・火山噴火
chapter8  感染症
chapter9  気候変動
chapter10  戦争
chapter11  宇宙災害(隕石の衝撃、太陽フレア)

part3  「人間社会の末路」を知る
chapter12  管理社会・未来の政治
chapter13  ジェンダー
chapter14  マインド・アップロード
chapter15  時間
chapter16  ファーストコンタクト
chapter17  地球外生命・宇宙生物学




取り上げられるキーワードは「17」。
それぞれのchapterに相応しい作品が紹介され、全部で「56作品(シリーズ)」がピックアップされています。
そのうち僕が読んだ頃があるのは「14」作品。
どっちかっていうと「ハードSF」よりの作品が多いですからねぇ。
なんか避け気味だったんですよw。


「すでに現実はSF化した」


スマホがらみの技術革新やら、AR/VR/MRデバイスの登場(直近話題になったのはAppleVision Pro)chatGPTが身近にした生成AIの実装化、ジェンダーやハラスメント、気候変動等の「価値観の変化」、新型コロナが一気に後押しした「新しい働き方」の萌芽etc、etc
そういう側面は確かにあります。
一方で、僕らが子供の頃夢見た「空飛ぶ自動車」はまだまだ実現しそうにありませんし(それどころか完全な自動運転車すらなかなか実現しない)、Androidやロボットが身近な存在となるのも、しばらくは先になりそうです。
「人間の想像」は新しいテクノロジーや社会の姿を垣間見せてくれるけど、その実現には想像だけでは足りないものがある…ってことかな?



でもまあ、「想像できないものは創造できない」。
SF作品を読む楽しみは、その「人間の想像」の奥行きの広さと、その向こうにある「創造の可能性」を垣間見るところにあるのかもしれません。
(その「想像」から、「災害」や「デストピア」への<備え>をする…ってのもありますね)



最近のSF作品の傾向…みたいなものを知るのにもなかなか役に立つ本です。
おかげでまた積読の山が高くなりそうな気もしますが…。



#読書感想文
#SF超入門
#冬木糸一

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