勉強せんとアカンなぁ…:読書録「名著の予知能力」
・名著の予知能力
著者:秋満吉彦
出版:幻冬舎新書(Kindle版)
NHK番組「100分de名著」のプロデューサーの新書。
番組で紹介された名著の解説ではなくて、
<「名著は現代を読む教科書である」>
と言う視点から、現代社会へのどういう問題意識が「名著」と繋がって行くのかと言う、「企画」の過程に焦点を当てた内容になっています。
⚪︎「他者」との遭遇、社会の変革
「ハムレット」「フランケンシュタイン」「ソラリス」「資本論」
⚪︎人生観、幸福論
「赤毛のアン」「河合隼雄スペシャル」「金閣寺」「砂の女」
⚪︎全体主義への対抗
「全体主義の起源」「力なき者たちの力」「大衆の反逆」「人生論ノート」
⚪︎発想の転換
「春琴抄」「平家物語」「ディスタンクシオン」「薔薇の名前」「善の研究」「貞観政要」
⚪︎名著の読み直し(イメージ刷新)
「アルプスの少女ハイジ」「ピノッキオの冒険」「風と共に去りぬ」「虚無回廊」「日蓮の手紙」
⚪︎時代を見るレンズの解像度を上げる
「黒い皮膚・白い仮面」「ペスト」「エチカ」「老い」
⚪︎メディアへの問いかけ
「華氏451度」「群集心理」「戦争は女の顔をしていない」「100分deメディア論」
このプロデューサー、僕と同い年(65年生まれ)。
まずはその「勉強量」に感服します。
ある面では「仕事だから」なんでしょうけど、だからってコレだけの作品を読むのは並大抵じゃない(当然、その背後には何十冊・何百冊もの読書があるはずです)。
そして「いい番組を作る」だけではない、問題意識・使命感にも感心します。
「多くの人は本なんか読まないんだ」ってことは、「『若者の読書離れ』というウソ」なんかにデータとして明確に示されていましたが、その現実を踏まえながら、
「読む人への、更に深く、広い視野への導き」
「読まない人への<機会><出会い>の創出」
と言う観点から、いろいろなチャレンジをされておられるようです。
(「100分de名著」は「読む人」向けの番組とは思いますが)
個人的には作者の観点はメディア的なリベラルに寄り過ぎてる(「問題提起」が強すぎて、「選択して実行する」と言うことへの敬意が薄い)とは感じるのですが、コレはこれで重要なあり方なんだろうとも思っています。
少なくとも「100分de名著」はそういう役割であるべきかもしれません。(深く議論される中で、多面的な意見が出て来ると言う側面もありますし)
…とかいって、実は僕はあんまり「100分de名著」観てないんですよね。
いや、いい番組だとは十分承知していますし、何回かは観てます。テキストは見てる回数以上の冊数、購入していますね。
…実は「伊集院光」が苦手なんですw。
才能のある、すごいタレントだとは思ってるんですけどね。
でもなんか喋りがなぁ…ってコレは完全に「相性」の問題。
彼じゃなきゃ、この番組は成立しない…とも思ってますから。
いずれにせよ、引き続き質の高い番組を作ってくれることを期待しています。
僕も、時々は観ようとは思っていますのでw。
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