こんな話だっけ?:映画評「ナイル殺人事件」
原作も読んでるし、ピーター・ユスティノフの前の映画化も観てるんですが、初っ端、
「え?こんな話だっけ?」
…まあ、「ポアロ」というキャラクターを強く前面に打ち出したシリーズですね。ケネス・ブラナー版は。
(作中、ポアロは「自己中心的」と非難されますが、作品自体が「ポアロ中心」な作りになってるのが皮肉です。
分かってやってんでしょうね、これは)
2時間余りの映画で、最初の被害者が出てくるのが1時間経過してから。
そこから犠牲者が2人出て、ポアロの「謎解き」から、ラストの悲劇に…。
後半がバタバタするのは確かですが、ここをのんびりやられてもね…ってのも確か。
トータルとしては楽しめる映画に仕上がっていると思います。
窓ガラスのカットを効果的に使った絵面の演出なんかも、ちょっとワクワクしますし。
エジプトを舞台とした「観光」的なエキゾチックな雰囲気を楽しめるのは前の映画化同様。
ただちょっとセット・CG臭さが感じられるところもあって、ここら辺は好みが分かれるところかもしれないな、とは思います。
それがあるからこそ、演劇的なケレンが出てくる…ってのもありますから。
でもまあ、正直言えば「ベルファスト」を観た後だと、
「いや、やっぱりケネス・ブラナーはああいう映画を作るべきでしょう」
と思っちゃいます。
ご本人がどう思ってらっしゃるのかは知りませんけど、エンタメ・ビッグバジェット映画を外連味と格調で仕上げてくれるのは確かなものの、もっとアーティスティックな資質をお持ちだと思うんですよ。
「ベルファスト」の評判が良かったから、そういう方向に軌道修正されるかもしれないなと、ちょっと期待もしてます。
ラストシーン、「鎧を脱いだポアロ」を登場させたことから推測すると、「続編」もないんじゃないかなぁ。
あとまあ、なんかエンドクレジットのあたり、ついこんな曲が流れるんじゃないかと…w。
結構好きなんですよ。コレw。