「名言」もその人が語ってこそ、なんだよなぁ:読書録「不器用なまま、踊りきれ。超訳 立川談志」
・不器用なまま、踊りきれ。超訳 立川談志
著者:立川談慶 ナレーター:秦なおき
出版:サンマーク出版(audible版)
志らくさんの「師匠」をaudibleで聴いたので、audibleのレコメンドでオススメされたのがコレ。
談志没後10年の企画本なので2021年の出版ですかね。
「師匠」「赤めだか」と来たので、流れで聴いちゃいましたw。
<Amazonより>
「世間体を守るためにする努力なんて バカのすることだ」
志の輔、志らく、談春など、名だたる落語家の生みの親であり、政界進出、二日酔い会見、『笑点』の立ち上げなど数々の伝説を残した、落語界の永遠の革命児・立川談志、没後10周年記念本。
談志を語る時、「破天荒」という言葉が使われることが多い。数々の争いを起こし、敵を作るのを厭わなかった談志評として間違ってはいない。だが、果たして本当にそうだろうか。「破天荒」というのは、あくまでもメディアに切り取られた一面でしかないように感じる。談志が亡くなって10年。談志を師と仰ぎ、10年間前座時代を過ごした著者が思うのは「談志は不器用で優しくて厳しい人間だった」ということだ。師匠が亡くなってからも著者の心を支え続けた談志の名言を新解釈でお届けする。
談春さんも志らくさんもいってるけど、談志さんって基本的には「常識人」なんですよね。
だから「名言」と言っても、公序良俗に反したようなことをバンバン言うわけじゃない。
ちゃんと裏には論理が通ってて、その論理に沿って発言になってるわけです。
まあ、「発破」をかけたり、インパクトのために敢えて刺激的なことを言ったりもしますが、弟子たちにボソっと言う言葉は常識人/昭和人の言葉が多い。
「お礼はちゃんとしろよ」
…とかねw。
ただまあ、談志だって人間ですからね。神様じゃないし、間違えること、見当外れのことを言っちゃったりすることもあるでしょう。
それが「立川談志」という人間が口にした言葉だと、血肉があるだけに味わえるものも、言葉だけど切り離してしまうと、なんだか薄っぺらいものになっちゃうリスクがある。
本書にはその懸念があるかな〜。
自己啓発本・ビジネス本の分野での出版になるだけに。
「日本人には貧乏が似合う」
そっからSDGSとか「人新世」とかに持ってこられても、どうかな〜って思っちゃうんですよ。
そうやって切り離す方が薄っぺらになっちゃうんじゃないかと。
「落語」を背負って、体現しようとした談志さんだからこそなんであって、そっからポリティカルコレクトっぽいもんに繋がれてもね〜って感じです。
「男が勝手に作ってダメにした社会を、直していゆくのは女だろう」
これなんかは、ストンと入って来たりもしますがね。
「立川談志」は「落語」のことをトコトン考え尽くした人間。
だから「落語」のことについては耳を傾けるべきものが必ずある。
しかしそれ以外のことは…まあ、「座談」くらいの気持ちで聞いておけばいいんじゃないかと思うんですよ(もちろんお弟子さんはそう言うわけにはいかないだろうけど)。
専門以外の言説を祭り上げちゃいけない。
ミュージシャンとかアイドル、芸人、学者さんもね。
「座談」は「座談」として味はあるし、耳を傾けるところもあるだろうけど、祭り上げる必要なんかない。
「他人の物差し」を嫌った談志さんもそう言うんじゃないかな?
「俺の言うことは違う」って怒られるかなw。
と言うわけで「座談」としてaudibleで聴くのにはいいんじゃないでしょうか。
それをどう言う風に自分として考えるかについては、聞いた人それぞれがお考えください。
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