ぶっ飛んだユーモア小説を期待してたんですが…:読書録「死んだ山田と教室」
・死んだ山田と教室
著者:金子玲介
出版:講談社
新聞の書評欄で取り上げられているのを見て、「お、ちょっと面白そうじゃん」と思って購入。
夏休みが終わる直前、山田が死んだ。飲酒運転の車に轢かれたらしい。山田は勉強が出来て、面白くて、誰にでも優しい、二年E組の人気者だった。二学期初日の教室。悲しみに沈むクラスを元気づけようと担任の花浦が席替えを提案したタイミングで教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきたーー。教室は騒然となった。山田の魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。〈俺、二年E組が大好きなんで〉。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの不思議な日々がはじまったーー。(Amazonより)
なんか面白そうでしょ?
ノリとしては成瀬シリーズか、金城一紀さんの「ゾンビーズ」シリーズ、映画にもなった漫画「セトウツミ」あたりなんじゃないかと言うのが、手に取った時の期待でした。
結果から言うと前半はまさに期待通り。
男子高校生の実に実にくだらないノリにニヤニヤしっぱなしでした。
ただ後半に入ってくると…
この話、「サザンさん」や「うる星やつら」じゃないんですよね。
永遠に同じ時間軸を繰り返しながらコメディな日々を送っていく
…ってんじゃなくて、時間はチャンと進んで行く。
2年生は3年生になり、クラスは別れ、卒業し、それぞれがそれぞれの進路を歩み、社会人になって行く。
その流れの中で、スピーカーとなった山田は…
ま、純文学路線とも違うんですけど。
最後までくだんない話はバカバカしくも繰り返されています。
でも周りが流れている中で、山田はずっと山田で、じゃあどうすりゃ良いのか、そもそも何で山田はこんな風に…
シリアスとも違うんだけど、バカ話にも収まらない世界線に入る終盤をどう評価するか、ですかね〜。
設定的にはそこに突っ込んでいかざるを得ないのは、もう仕方ないんですけど。
個人的には
「まあ、オチをつけるにはこうならざるを得ないか〜」
って感じです。
登場人物の鬱屈も分からなくはないんだけど。
「おちんちん体操第二」とか、オールナイトニッポンのテーマとか、好きなんだけどな〜。
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