引越しできないご近所とどう付き合っていくかってのは真剣に考えなきゃいけない:読書録「京都生まれの和風韓国人が40年間、徹底比較したから書けた!そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。」
・京都生まれの和風韓国人が40年間、徹底比較したから書けた!そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。
著者:ムーギー・キム ナレーター:岩瀬遼平
出版:東洋経済新報社(audible版)
ムーギー・キムさんの著作は「最強の働き方」と「最強の健康法」を読んだことがあります。
ご自身の経験に加えて、先行文献を数多くチェックして、論理を組み上げる…っていうのが印象です。
本書も同様。
在日朝鮮人生まれで、ビジネスマンとしてグローバルに活躍するご自身の経験・感覚と、幅広い文献・論文を踏まえた論理構成と展開を本作でもなさっています。
「ミニコラム」や「確認テスト」みたいのも各章の後ろに設けてあって、「分かりやすく」「理解の度合いを確認しつつ」…と、ビジネス書らしい構成にもなってます。
第1章 日韓の人間関係の違いとは
第2章 なぜ韓国人は過去にしつこく、日本人は無責任なのか?
第3章 なぜ隣国とは永遠に揉め続けるのが当たり前なのか?
第4章 ここがヘンだよ韓国の怒り方
第5章 ここがヘンだよ日本の建前
終章 日本と韓国をムラサキするには
「両論併記」的な書きっぷりになっているので、自分の国のことを書かれてる時は苛立つけどw、相手の国のことを書かれてる時は深く頷く…みたいな感じになるかなw。
一歩引いて考えれば、
「まあ、そうだよね〜」
って話なんですけどね。
基本的には「相手はこう思ってる/こう感じてる」ってのを理解して、「相手を変えようとはしない」で、自分がどう対処するかを考える。
…個人の人間関係でもそうなんですが、結局はそれしかないのかな、というのが僕のスタンスです。
これから韓国相手にビジネスすることも、僕個人としてはないでしょうから、偏った意見を持たないように、次世代の邪魔にならないように…ですね。
その「相手はこう思ってる/こう感じてる」ってのを確認するのには、結構便利でよく的待てる本だと思います。
読んで頭に血が昇らなきゃ、得るものはあるのではないか…と。
個人的には儒教・朱子学的な倫理道徳観・正義観については「困ったもんやな〜」と感じるんですが、これって幕末日本の攘夷運動にもあったもんだし、昭和維新にも垣間見えるもんじゃないかと思います。
日本の「建前」っていうのが、「大人の対応」「現実主義」ってのはあると思うんですが、それって結局「既得権益擁護」でしかないんじゃないの…って見方も、否定はしきれないですからね。
「正義の暴走」は厄介だ…ってのはつくづく感じるところではあるんですが。
ちょっと興味深かったのは、作者が韓国のフェミニズムの動きについては「行き過ぎている」と感じている雰囲気があるところ。
断言はされてないですが、コメントにそんな傾向があります。
本書は韓国でも発売予定のようですが、こういうコメントが出てくるような揺り戻しもあるってことなんでしょうかね。
作者も述べている通り、韓国は物事がものすごく早く動いていくので、ここに書かれていることも含めて、「こうだった」ってことが、あっという間に違う流れになっている可能性もあるとのこと。
「それはナカナカ面倒なことだな」
と思う一方で、現在の社会情勢を考えれば、「そうあるべき」とも言えなくもない。
少なくとも「失われた○○年」ってな状況に陥るよりは、<変化>に期待すべきでしょう。
そういう気配がようやく日本にも…
ってのは楽観的すぎるかな?
ま、どうあっても「引越しできないご近所さん」同士。
うまくやって行く道を見つけたいものです。
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