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時代に合わせてアップデートしないと:読書録「『叱れば人は育つ』は幻想」

・「叱れば人は育つ」は幻想
著者: 村中直人
出版:PHP新書(Kindle版)

ちょっとマネジメントに関して、自分の知識を確認をしたいことがあって、目についた本書を購入しました
よく言われるのは
「怒るではなくて、叱るがマネジメントにおいては必要」
と言う考え方ですけど、本書はその「叱る」についてもネガティブな評価を下している内容になります。
まぁ、現場で考えると、結構「定義」の違いってところもあるような気がしますけどね。(対談の中でもそういうところが垣間見えたりはします)


考え方のポイントは簡単に言うとこんな感じでしょうか?

1「叱られる」ことによって、脳の反応がネガティブな防御モードになってしまうため、叱られることによる教育効果や成長期待は望めない

2「叱る」側にとっては、短期的に成果があったように見えることや、そもそも他人を罰すると言う行為が快感につながると言う面もあって、行為そのものに中毒、あるいは依存してしまう側面がある



個人的には割と納得があるんですけどね。
テレビドラマの「アンチヒーロー」とか、セカオワの「Habit」なんか思い出したりもしましたw。


はじめに

第1章 「叱る」ことへの幻想

第2章 教育現場に潜む「叱る」への過
工藤勇一 × 村中直人

第3章 「叱る」と「フィードバック」の違いとは?
中原淳 × 村中直人

第4章 「理不尽な叱責に耐える指導」に潜む罠
大山加奈 × 村中直人

第5章 僕が「『叱る』をやめる」と決めた理由
佐渡島庸平 × 村中直人

おわりに




本書は、この理論の部分を深掘りするのではなくて、現場にいる4人との対談によって、その実践について深掘りをしている内容になります。
麹町小学校の校長だった工藤さん、「フィードバック」を提唱されている学者の中原さん、元プロバレーボーラーの大山さん、プロ編集者の佐渡島さん、
村中さんの理論に100%重なるわけじゃないけれども、それぞれが経験してきた中で
「叱る」と言うことがどういう意味合いがあったのか、
その効果はどう評価すべきなのか、
「叱る」ではなく、どういう対応をしていくべきなのか
…ということが語られていて、なかなか面白かったです。
こういうのって、やっぱり「やってみてどうなのか」っていうのが重要ですからね。


「叱る」の問題っていうのは、「パワハラ」の問題と言えると思います。
ハラスメントっていうのは現代においては極めてセンシティブな課題だと思っていますが、その中でも「パワーハラスメント」は扱いの難しい問題です。
どうしても指導や教育とも兼ね合いがありますから、
僕個人としてはハラスメント問題っていうのはある意味時代との兼ね合いっていうのがあると思っているので、
「昔はこうだった」
とか言っても仕方がないと思っています
個人的経験としてはあまり良い思い出がないことも少なくないですしね。
そういう意味では、今の時代のあり方は、昔よりは良くなってると言うのが僕のスタンスです。
ただ、その中で教育や指導っていうのが不要になってると言うわけではもちろんないので、どういう形で新しい時代にふさわしい教育や指導があり得るのかを考えていくのが個人的な課題ではあります。
本書を手に取ったのも、その一環。
参考になるところは少なくなかったと思いますよ。

「それをどう現場に生かしているのか」

っていうのは、まぁ難しいところもあるんですけどねぇ。
やるしかないんだけどさ。


#読書感想文
#叱れば人は育つは幻想
#村中直人

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