どんどん長くなるけど、どんどん面白くなっている:読書録「ボタニストの殺人」
・ボタニストの殺人<上・下>
著者:M・W・クレイヴン 訳:東野さやか
出版:ハヤカワ・ミステリ文庫(Kindle版)
「ワシントン・ポー」シリーズ第5作。
ついに上下巻になってしまいましたw。
しかし全く飽きない!
これまた一気読みでした。
押し花を受け取った著名人が連続で殺される事件が起きた。
捜査に挑むポーだったが、 彼の同僚の病理学者エステル・ドイルが父親の殺人容疑で
逮捕されてしまう。
絶対に不可能と思われる連続殺人事件と、雪の密室でのドイルの事件。
ポーはブラッドショーとフリンと共に二つの難事件を追う。
ポーと何やらいい雰囲気もあったエステル・ドイルが父親殺しの容疑で逮捕!
今までもインパクトのある登場で、強い印象のあったエステルですが、扱いとしてはどちらかといえば「ゲスト」っぽい感じ。
それがいきなり事件の中心人物として登場し、こうなるとポーとの関係も…
って冒頭から引き摺り込まれ、そこからラストまであれよあれよ。
もちろんポーとエステルの関係も一歩踏み込んだものとなって行きます。
ティリー・ブラッドショー、ステファニー・フリンとポーの3人組がこのシリーズの「チーム」だと思うんですが、そこにエステルも加わることになるのかな?
それはそれで楽しみが増えます。
ポー/エステルのやりとりも面白いですからね。
まあ、ブラッドショーとのコンビっぷりには及びませんが。
事件の方も相変わらず読ませる展開なんですが、このシリーズが面白いのはやっぱり登場人物たちの会話。
ブラッドショー、最高です。
もう彼女とポーの漫才だけでもこのシリーズは読む価値があります。
その底にある深い信頼関係も含めて…です。
そして今までのシリーズに出てきた登場人物も含め、芯がしっかりしていて、魅力的な女性キャラが本作でもポーと協力して事件を追いかけていきます。
これはもう完全に狙いですよね。
女性の登場人物はみんな真面目で人生に向き合って生きている(闘ってる)姿が描かれるのに、ポーを除く男性キャラクターのほうはどうもいまひとつ、ぱっとしない。
ここまでそういう構図が徹底されてくると、これはもう作者の狙いだとしか思えません。
そしてまぁそれがこのシリーズの読みドコロにも確かになってるんですよね。
ポーの距離感とかほんとによく考えられてると思います。
もう6作目も発表されてて、7作目の出版も間近とのこと。
翻訳のピッチをぜひともあげてほしいところです。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?