ディーヴァー版「ジャック・リーチャー」みたいになっていくのかな?:読書録「ハンティング・タイム」
・ハンティング・タイム
著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子
出版:文藝春秋(Kindle版)
「コルター・ショウ」シリーズ第4作。
3作目までは「3部作」的なつながりがあって、父親の死の裏側にある巨大な陰謀を暴く…って流れだったんですが、そこに決着がついて4作目は独立した作品となっています(たぶん)。
小型原子力発電の部品の盗難事件を解決したコルターは、その会社のエンジニアの女性が、娘と共に失踪した事件の調査と護衛を依頼される。
アルコール依存症で、DVを起こした警察官の夫をその女性は告発していたのだが、元・夫は刑期を短縮されて出所。自分を監獄に入れた元・妻へ復讐しようとしているというのだ。
警官時代のつながりから、元・夫はギャングの力を借りて、殺し屋たちと協力して元・妻を追跡する。
逃げる母娘の痕跡を追いながら、コルターは元・夫と殺し屋たちの追跡もかいくぐって行かなければならない…。
主人公のコルターの他、逃げる母娘、追いかける元・夫、彼と連携しながら別ルートで追跡する殺し屋たち・・・と複数の視点から物語は語られ、小さな「どんでん返し」が読む側を惹きつけます。
ディーヴァーですからもちろん物語の根幹をなすような<どんでん返し>もあって、単なる「DV男と家族」の物語に収まらない展開が待っています。
元・夫のDVを正直に語れない母親と娘の関係は結構微妙で、娘の態度にイライラさせられるんですが、その娘がコルターに出会ってから、彼のサバイバル哲学に感化されるところはナカナカ面白いです。
ディーヴァー版「初秋」(ロバート・B・パーカー)ってとこ?
そのオチもちょっと笑えますw。
シリーズとしては<ジャック・リーチャー>みたいに、コルター・ショウが各地で事件に出会っていく…みたいな展開になるんでしょうか?
個人的にはもう少しこの地に留まって、弟子となった少女との交流があっても…って思わなくもないんですが、それじゃ「コルター・ショウ」じゃなくなっちゃうかな?
まあ、どうであれディーヴァーですから、次も楽しませてはくれるでしょう。
とりあえず次作は「リンカーン・ライム」シリーズ。
ウォッチメーカー登場…のようです。
楽しみ、楽しみ。
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