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「今日はその日ではない」:映画評「侍タイムスリッパー」

20241014梅田TOHOシネマ

自主映画ながら上映館が拡大して大ヒット
…で、評判の作品。
この線で先輩wになる「カメラを止めるな」は観てないんですが、こちらは題材的に面白そうなんで観ることにしました。
うん。
面白かったです。

会津藩士・高坂新左衛門は家老から長州藩士・山形彦九郎の暗殺を密かに命じられる。
山形と一対一の対決になったとき、雷が彼を撃ち、高坂は徳川幕府が滅んで140年後の現代の映画撮影所にタイムスリップしてしまう。
周りの人々の助けを借りながら、高坂は時代劇の斬られ役として自分の居場所を見い出して行く。
そんなある日、かつての時代劇スター・風見恭一郎の相手役として抜擢される。
風見と出会った高坂は、彼から衝撃の事実を告げられる。



タイムスリップして、斬られ役として活躍し始めるまでは、古風な雰囲気もあるドタバタ・コメディ。
風見が登場してからは、コメディではありながら、「侍」としてのアイデンティティに悩む姿がテーマとなります。
自主映画
ではありますが、東映京都撮影所がかなり本腰入れてバックアップしてくれてるだけに、安っぽさは感じられません。
まあ役者の顔ぶれはさすがに「誰?」って感じですがw、山口馬木也さんと冨家ノリマサさんを主役格で押さえていて、それでピシッと締まった感じになってます。
山口さんの誠実さと朴訥さ。
それがラストの対決にリアリティを持たせるんですよね。


自主映画だって、良い脚本と志が高ければメジャー作品に対抗できる
…ってのがこの作品のウリかもしれませんが、東映京都撮影所と言う歴史の蓄積の上に成立してるだけに、100%そのことに賛同はできないかな〜。
SHOGUNなんかと比べたら、やっぱり予算は重要と思わざるを得ないしw。
でも「時代劇には可能性がある」ってことを謳い上げてる点では、SHOGUNに通じる志を感じることが出来るかなぁ。
いや、嫌いになれませんよ。こう言う映画は。


TOHOシネマはほぼ満席で、上映が終わったら拍手が上がったりもしました。
応援したくなる気分もわかります。
でも一方で、
「お金掛けなくても面白い映画が出来る」
って安易な風潮に流れて欲しくはないな、って懸念も感じます。
そう言うの好きな向きが日本の映画界隈にはまだある気がするするんだよね〜。
配信でそう言うのに釘が刺されてる感じもあるだけに、ココで揺り戻しして欲しくないんですよ。
この作品はホントに面白かったんだけどさ。


いつかは誰もが何らかの決着をつけなきゃいけないのかもしれない。
それでも
「今日はその日ではない」
そういうことで、今日と言う日を軽やかに生きていくことができる。
そういう日々もいいんじゃないかな
…とか思ったりもしてね。
安くて美味しいショートケーキを食べながら。


#映画感想文
#侍タイムスリッパー

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