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雰囲気はこの3作目が一番好きかも:映画評「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」

ケネス・ブラナー主演・監督の<エルキュール・ポアロ>シリーズ第3作。
前作(ナイル殺人事件)でポアロ個人の物語として区切りをつけていたので、続編が作られたのには驚きました。

ベネチアで引退生活を送るポアロ。
ある日、友人のミステリー作家アリアドニ・オリヴァに誘われ、降霊会に参加する。
高名な降霊術士レイノルズは、自殺したと思われるオペラ歌手ロウィーナの娘アリシアを降霊する。
ポアロはその降霊の欺瞞を暴こうとするが、彼の目論見は中断させられる。
嵐が訪れたその夜、降霊会に集ったメンバーは屋敷に閉じ込められ、その中でレイノルズが殺害される…



事件としては降霊術士ジョイス・レイノルズの殺害と、過去のアリシアの自殺事件の謎が解き明かされる展開。
第二次世界大戦後のベネチアのミステリアスな雰囲気に、豪華だが影のあるセット、広角レンズを多用したアングル、俳優たちの達者な演技等が、ホラーチックな世界観を醸し出しています。
個人的には雰囲気は3部作の中で一番好きですね。
まあ、推理の方は…ではありますがw。



ケネス版ポアロは<事件>だけでなく、ポアロ個人の人間性にも踏み込んでいるところが特徴です。
前作で髭を落としたポアロが、しれっとまた口髭を蓄えてますがw、<死>に彩られた人生を、それでも肯定して前に進んでいこう…と言うのが本作でのポアロです。
…う〜ん、となると続編はまだあるのかしらん。



不勉強ながら、出演陣で僕が知っているのはブラナーと、降霊術士を演じたミッシェル・ヨーくらいでしたが、それが作品世界に入り込みやすくしてくれた…ってのはあるかな。
「オリエント」とは違う趣向の作品ですから。
続編があるなら、この路線は歓迎です。


ところで僕はクリスティーの主要長編はほぼ目と通していて、本作の原作「ハロウィン・パーティー」も読んでるはず。
…なんですが、全然思い出せませんでしたw。
どうも相当に改変してるようですね。
そのお陰で雰囲気たっぷりのベネチアが舞台なんだから、これは改変して正解じゃないかとは思います。
あんまり観光路線になっちゃうのは、それはそれで心配でもあるんですけど。


#映画感想文
#名探偵ポアロ
#ベネチアの亡霊
#ケネスブラナー
#ミシェルヨー

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