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読み終えてみると、味のある邦題でした:読書録「処刑台広場の女」

・処刑台広場の女
著者:マーティン・エドワーズ 訳:加賀山卓朗
出版:ハヤカワ・ミステリ文庫(Kindle版)


舞台は1930年のロンドン。
コーラスガール殺人事件を解決した素人女性探偵レイチェル・サヴァナクに興味を持ち、取材しようとする若き事件記者ジェイコブ・フリント。
レイチェルは続いて首切り殺人事件の真相を暴き、犯人は拳銃自殺を遂げる。
レイチェルの父親は「処刑台のサヴァナク」と称される冷酷な判事だったが、ジェイコブはレイチェルにも底知れない「何か」を感じる。
彼女の周りで、次々と人が死んで行く。
レイチェル・サヴァナクとは一体何者なのか…


作者は探偵小説の黄金時代に関するノンフィクションも発表している小説家。
となると、黄金時代を彷彿とさせる本格推理から、「探偵」の存在意義に言及するような新本格的な展開になるのでは…
と思ってたら、全然違いましたw。
ミステリはミステリ…かな?
でもサスペンス色の方が強い。
でもって「レイチェル・サヴァナク」は、「ドラゴン・タトゥーの女」のリスベットのような、実に現代的なヒロインに近い存在になっています。


<彼女はきわめて理性的だが、どこか狂信者のようなところがあると感じた。目的を果たすためなら──おそらく自分自身も含めて──あらゆるものを破壊する心構えの女性だった。>


ミステリ的要素で言うと、冒頭からの「仕掛け」については、ある程度「まあ、そうかな」と当たりがつきます。
が、終盤の展開は読めなかった。
そこに至って、題名(邦題)を見返して、
「う〜ん…」
なかなかやってくれます。



思ってたのとは違ってたけど、なかなか楽しめる作品だったのは確か。
狂言回し的役割のジェイコブくんのキャラがちょっと弱いのも確かですがね。
でもまあ自分を騙してたであろう被害者への感傷とか、心根は良さそうなのが、クールで強いレイチェルには好ましいのかなw。


本作の一番の「驚き」は、これが「シリーズ化」されてるってこと。
ここからどう展開するのか…
読みたいような、読みたくないような。
でもまあ、翻訳されたら読んじゃうかなw。


#読書感想文
#処刑台広場の女

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