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使うべきか否かを迷う時期は過ぎたかな:読書録「生成AIと脳」

・生成AIと脳 この二つのコラボで人生が変わる
著者:池谷裕二
出版:扶桑社新書(Kindle版)

「海馬」をはじめ脳に関する著作を書かれている池谷裕二さんが「生成AI」について書かれた作品。
あまりにも日替わりで生成AIに関する情報はアップデートされてるので、
「もう生成AIに関する本はいいかな〜」
と思ってるんですが、今回は「脳科学者」の池谷さんが論じてらっしゃるって言うので読んでみることにしました。
生成AIのベースになるディープラーニング技術は脳のニューロンなんかから発想されたもんですからね。


《生成AIがもたらす新しい脳の使い方! ≫
◎空気が読めない人は、AIを使うのも苦手
◎生成AIは文系的な性質を持つ
◎クリエイティビティの面で勝てる人間は9・4%
◎上手なプロンプトを書くコツ
◎AIに「意識」は存在するのか…
最新の知見をたっぷり解説!
「仮にAI なくして成立しない世界が訪れたとしても、人間が愚かになることは決してありません」 著者

【目次】
第1章 生成AIとは何か
第2章 人生を変える生成AIを使いこなすスキル
第3章「私」よりも「私」 のことを知る存在
第4章 生成AIが抱える10の問題
第5章 「新しい道具」 がもたらす新しい脳の使い方
第6章 生成AIは未来を導く 「神」 なのか?

【本書より】
AIが存在するからといって、人間のすることがなくなるわけではありません。 AIに全てを任せることが、人間の生きる価値を否定することではないのです。 むしろその逆で、人間にはAIではできない能力がたくさんあり、 その価値は決して失われません。 たとえば「楽しむ」 という行為はその最たるものです。
さらに言えば、 本来は人間が苦手なことをAIに任せ、自分たちは人間らしい行為に特化することで、「本来人間がするべきこと」に脳の使い方が特化されるはずです。
完璧な人間がいないように、完璧なAIも存在しないのです。

(Amazonより)


脳科学と生成AIの関係性について言うならば、もちろん記述はあるんですけれども、それほど見新しいものではなかったんですね。
まぁここら辺は今まで読んできた本の中でも指摘・解説されてましたから。
それを超えるような事はそんなにないというか、それ以上詳しい解説されてもこっちが理解できないっていうのもw。


本作が面白かったのは、生成AIをどういう風にして活用しているかと言うあたりでしょう。
こういう業界でこんな風に使ってますよ…みたいな紹介ももちろんあるんですけれども(医療系の活用がいろいろ紹介されていて、これはこれで興味深かったです)、それ以上にご自身の研究や、学生の指導にどうやって使っていたかについて、結構詳しく話してくれているところが面白いです。
池谷さんはかなり積極的に生AIを使う派で、学生にも生成AIの活用をススメている…と言うより義務づけていらっしゃいます。
それは自分の研究領域が生成AIと重なると言うこともありますし、今後生成AIは社会に実装されていく技術になると確信していると言うのもあるんでしょうけれども、純粋に生成AIを使った方が質高い研究ができると言うところが1番の理由だと思います。


僕は研究者じゃないのにないので、池谷さんほど積極的に生成AIを使っているわけではありません。
基本的にはChatGPTがジェミニですからね。使ってるのは。
でも、ChatGPTサーチが実装されてから利用頻度はかなり上がっていますし、実用性は相当に高くなっていると言う事は認識をしています。
これまでネット検索なんかで事実関係の把握なんかよくしてた方だと思うんですけれども、その頻度が相当高くなってますし、検索結果の理解も以前よりも行っていると思います。
これはスマホのアプリで簡単に音声で検索ができることと、「さら問」することで疑問点をどんどん潰していけるところが1番大きいです。
ChatGPTサーチのハルシネーションは(前に比べれば)驚く位少なくなってますからね。
Googleが出てきた頃に検索をしないで、いろんなことを言う人に対して「ググレカス」みたいなことを言われることがありましたが、早晩「ChatGPTレカス」みたいなことを言われることもあるんじゃないかなと。
まぁ品のいいの話じゃないですけどw。


要すればは生成AIで「答え」を探すんじゃなくて、生成AIで調べたことを前提として、そその土台の上に何を作っていくかってのが問われるようになるということです
そういう意味では池谷さんが言っているように「楽になる」だけじゃない。
今よりももっと高いものを求められるようになるという意味では、人間にとっては厳しい時代がやってくるということなのかもしれません。
将棋なんか完全にそんな感じになってますし。
過去の歴史の実績の上に積み上げていくことを「巨人の肩の上に立つ」といいますが、生成AIは、巨人の肩にハシゴをかけてくれるみたいなもんですかねw。


生成AIの技術は本当にマンスリー、デイリーで進歩していますし、情報もどんどんどんどんアップデートされています。
<今現在>読むならこの本は結構新しいところをフォローしていて、わかりやすくかつ前向きで良い作品だと思います。
でも半年だったら多分いろんなことが変わってるような気がしますね。
読むならお早めに


#読書感想文
#生成AIと脳
#池谷裕二

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