面白いけど、一気に読むのはシンドイかな:読書録「エイレングラフ弁護士の事件簿」
・エイレングラフ弁護士の事件簿
著者:ローレンス・ブロック 訳:田村義進
出版:文春文庫(Kindle版)
「マット・スカダー」シリーズのローレンス・ブロックの短編集。
一時期、ブロックの作品は新作が翻訳されるとすぐに読んでたんですけどね〜。
最近は気が向いたらポツポツって感じ。
本書は今まで読んだこともなかったキャラの短編集と言うことで読んでみることにしました。
本の概要
エラリイ・クイーンも太鼓判!
ミステリー史上最高で最凶の弁護士マーティン・エイレングラフ登場!
不敗の弁護士エイレングラフは言う、
「私の報酬は法外ですが、 有罪になったら一銭も支払わなくて結構。 でもあなたが無罪放免となったなら、もし私が何もしなかったように見えても、必ず報酬を支払っていただきます」
そして依頼人は必ず、 無罪となる。 たとえ真犯人であっても!
エラリイ・クイーンが大いに気に入って雑誌に掲載した第一作「エイレングラフの弁護」 から38年。アメリカン・ミステリーの巨匠ブロック 『八百万の死にざま』『殺し屋』)がじっくり書き継いだシリーズ短編を完全収録。 本邦初訳の作品もふくむ全12編。 これぞ珠玉。ブラック・ユーモアとヒネリとキレが絶妙にブレンドされた短編ミステリー集。
(Amazonより)
ぶっちゃけ「悪徳弁護士」と言うより、「凶悪犯罪者」w。
弁護する依頼人は全員「犯人(殺人者)」。
彼らを釈放させるために、証拠を捏造…だけじゃなくて、他の人間を陥れて犯人に仕立て上げ、そのために関係ない人間までも平気で殺す。
そこら辺の裏側は直接描かないんだけど、読んでるとそのことが容易に推測できる…と言うのが、このシリーズの基本的構図です。
基本的には高額の依頼料のためにやってるんですけど、後半になってくるとそれだけじゃワンパターンと言うことか、女性の依頼人とのラブアフェアなんかも入ってきたりします
まぁ、お互い利害関係があっての関係ではありますがw。
こういうのってある意味ハードボイルド的な世界観と言うことはできるのかもしれません。
ただ「悪党パーカー」シリーズなんかとは違って、別に犯罪者でも悪人でもない一般人まで巻き込んでしまうあたりが、さらに主人公の悪辣さを際立たせています。
例えば、雑誌の中で一編だけ掲載されてるケースなんかは、ひねった感じの作品として楽しむことができるような気がします
ただこうやって1冊になって続けて読まされるとなかなかしんどいものはあるw。
収録されているのは12作品あるんですけど、結局読むのに1週間位はかかったかなぁ。
面白いのは面白いんですけどね。
そんなふうに感じるようになったのは、ハードボイルドが流行らなくなってきた時代のせいなのか、僕が単に歳をとっただけなのか。
両方ですかねぇ。
ポリティカルコレクトな世界観には、全く受け入れられない作風ではありますね
まぁ、ブラックコメディーとしてこれぐらいのフィクションは許容範囲であってほしいとは思いますが。
…厳しくなってるかな?
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