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ちょっとバランス悪いかも、だけど。:読書録「悪の令嬢と十二の瞳」

・悪の令嬢と十二の瞳 ~最強従者たちと伝説の悪女、人生二度目の華麗なる無双録~
著者: 駄犬
出版: OVERLAP(Kindle版)

駄犬さんの作品と言うのは、基本的にライトノベルにある定番パターンをハックしてストーリーを組み立てると言うものです。
本作でハックするのは「悪役令嬢もの」。


<ライトノベルには悪役令嬢モノというジャンルがありまして、自分も好きな話の形式のひとつです。内容的には、処刑される運命にある性悪な令嬢が、人生をやり直したり、別人格が憑依したりすることで、二度目の人生を上手くやるというもの。>(あとがき)


本作は人生やり直しパターンです。


<概要>Amazon
やり直しの裏に隠された秘密とは――

公爵令嬢セリーナは王太子から婚約破棄され、服毒刑にて人生を終えた――はずだったが、何故か巻き戻り二度目の人生がスタート。
ちなみにあれは冤罪だ、とんだ冤罪である。
だって「ちょっと聖女の頭がかすけて植木鉢を落としただけ」で「殺してはいない」のだから。
前回の敗因は有能な部下がいなかったこと。
であれば今度は拠り所のない孤児を引き取り暗殺者に育て上げ、自分をコケにしたやつらをぶちのめすのだ!
こうしてセリーナの従者育成計画が始まるが、過酷な訓練を経て仕上がったのはある意味(・・・・)最強の従者たちと番犬で!?
「我々はセリーナ様を愛しているか?」
「生涯忠誠!命を懸けて!忠誠!忠誠!忠誠!」
「セリーナ……、“あれ”はなんだね?」
「お父様、彼らは従者としての使命を前に、ああやって気を引き締めているのです」(すまし顔)
人生二度目の倫理観ぶっ飛びヒロインが征く、ちょっぴりおかしな逆行転生×悪党×勘違い英雄譚!


人生2度目になれば、前回の事はわかっているので、もっとうまくやれるはず。
…というのがまぁ基本にあるわけですが、本作もそうです。
ただ、例えば18歳で死んだ主人公がいたとしたら、2回目の人生をやり直したときには、外見は18歳でも中身は36歳と言うことになります
自分を振り返ってもわかりますが、当然18歳と36歳じゃ全然価値観や考え方が変わってしまっています。


本作の主人公は自業自得で1回目の人生を終えるわけですが、2回目の人生においても、特に改心して「良い人間になろう」なんて思ってるわけじゃありません。
思ってるわけじゃないんだけど、それなりに人生経験を積むことで変わってくることもある。
それがどういう風に…というのが本作のハックの部分になると言うことでしょうかね



ヒロインは2回目の人生で「自分の仲間」を作るために、個人から子供を預かって従者とするわけですけど、加えて彼らに犬を飼わせます。
どうしてか…と言うのは、本書を読んでもらうとして、なぜかこの「犬」の存在が作品上重要なポイントになっちゃうんですよね
これが全体のストーリー上で言うと、ちょっとバランスを悪くしてるような感じもあります。
作者自身特に「犬好き」と言うわけでもないそうなんですが…
でも個人的にはここにやられちゃいました。
いやもうエピローグ、最高です。


アナザーエンディングで裏設定なんかが明らかになって、それはまぁそれでちょっと嫌な感じだったりもするんですけど、それも含めてなかなかなハックです。
悪役令嬢ものが好きな方は楽しめるのではないかと。
50歳を超えて、そんなに読んでる人いないか?w


#読書感想文
#悪の令嬢と十二の瞳
#駄犬

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