LINE Fukuokaの価値基準(LION)について説明します
こんにちは。LINE FukuokaでCOOをやっている鈴木です。
このnoteでは、LINE Fukuokaの価値基準(LION:ライオン)について説明していきます。なぜ価値基準をつくることになったのか?その背景を知りたい方は以下のnoteに書いていますのでそちらをご覧ください。
エンジニアは別の指標があったりするので今回はビジネスサイドの仕事をイメージして読んでいただけたらと。
ちなみにLION(ライオン)という名前は、LINE Fukuoka, IMPACT, OWNERSHIP, NEXTのそれぞれの頭文字をとってつけています。では一つずつ説明していくことにします。
1.IMPACT(成果の影響度)
最初にもってきているのは成果です。ここはこだわりました。
会社で働ていると、仲間と上手にコミュニケーションを取ることや、人を育てることなど、成果を出すための手段が目的化していくことってありがちなことですよね。だから最初に明確に成果を置いています。
LINEでいうところの成果とは「WOW」です。WOWとは「ユーザーを感動させる初めての体験」「思わず友だちに教えたくなるような驚き」のことです。そのWOWを生み出すために私たちは働いています。
だから影響度は大事です。どのぐらい驚かせたの?やる前とやった後でどんな変化があったの?その大きさは?その範囲は?
例えば「新しいサービスをつくったら市民生活の仕方が変わった」「問い合わせ窓口のFAQを充実させることでユーザーの見えない負担を軽減した」のように対ユーザーへのWOWもあれば、「システム改修で大幅な工数削減を実現した」のように対社内向けへのWOWもあり、どちらも大切です。出来ればすべて数値化できたら理想ですが、尺度としてその影響度(変化×大きさ×範囲)を意識しています。
小さくまとまらずに、チャレンジを続けることによって、事業・社会における影響度の高い、価値の高い成果を出すことが大切です。
2.OWNERSHIP(当事者意識・主体性)
成果を出すためにはやっぱりプロセスが大事ですね。成果さえ出せればいい、という考え方があるかもしれませんが、現実にはプロセスが悪いと結局のところ成果は出ません。
LINEの働き方の特徴として、決められた仕事があるようでないようなものだ、というのがあります。変化の激しい世の中で、いまここにない新しいものを生み出して驚かせよう、と考えて働いているわけです。つまり自分の置かれている状況が常に変化していくような環境です。どれが誰の仕事だとか考える暇があったら、落ちているボールを拾っていかに良い仕事を生み出せるかという主体性が大事になってきます。
また意外と思われるかもしれませんが、想像以上にいわゆる社内調整や社外折衝が多い仕事です。よく考えてみれば、WOWと驚かれるような影響度の大きい仕事が、普通の仕事のやり方で生まれるわけがありません。企画、エンジニア、クリエティブ、法務等、ありとあらゆる職種で化学反応を起こしながら新しいものを生み出していく。
またこれまでにない新しいことをやろうとしているわけですから、周囲がすぐに理解してくれるわけもなく、そのコミュニケーションも惜しまずやらないと前進しません。これを面倒な調整や折衝と捉えるか、必要不可欠なプロセスだと捉えるか。これは絶対に自分が推し進めて成し遂げるんだという強い当事者意識がないと途中で折れてしまいます。
自分なりの問題意識にもとづき、多くの人を巻き込みながら、オーナーシップをもって組織・事業を推進していくことが大切です。リーダーシップよりもオーナーシップ。役職や立場に関係なく誰でも持てるのがオーナーシップです。
3.NEXT(次への展開・貢献度)
最後に志向性を入れました。未来志向と貢献志向です。
いまこの瞬間だけ良いという考えではなく、この先もっと良くなるという時間軸まで考えているものなのか。自分さえよければいいとものではなく、それを通じて他者や組織への貢献があるか。
例えば、ある課題に対して場当たり的な手当てをして成果を出すのはあまりよくありません。簡単な例でいうと「忙しいからとにかく人を増やそう。そのために新人の教育係も増やしていこう」みたいな考え方です。これではさらに忙しくなるリスクすらあり、解決策が次の課題を生み出してしまっています。そうではなく「教育のe-learningとtestを開発しよう。そうすれば教育係を増やさなくてよいしtest結果のデータも取れてさらに効率的になるかも」のような考え方のほうがよいですね。
このように未来を見据えた新しい解決策は、その業務を次のステージに導くことが出来ます。またその解決策のプロセスの汎用性が高ければ他部署や他業務に応用することが出来ます。
より長い時間軸や広い視点で組織・人材の成長へ貢献する。直接的・間接的に組織や人の育成に関与して貢献していくことが大切です。
さいごに。
運用が大事。仕組みや場づくりが大事。
こうやって価値基準を決めたとして、すぐに社員みんなが「私たちが大事にしている価値基準はこれだ」となるわけではありませんよね。実際の運用に乗せないと単なる標語で終わりです。徐々にでもいいからみんなが「なるほど」と腹落ちできるような仕組みをつくる、みんなが「これが価値基準でいいのかな」と考えたり議論できたりする場を準備する。そうやって社員みんなが考えたり実行したりしながら、価値基準って少しずつ温まっていくものなんだと思います。
例えばLINE Fukuokaでは、価値基準であるIMPACT, OWNERSHIP, NEXTに沿った人事制度やグレード制度をつくったり、表彰制度をつくったりしてきました。そうやってみんなで議論を深めていける場づくりが、やっぱり一番大事ですね。
というわけで、LINE Fukuokaの価値基準(LION:ライオン)について説明してきました。かいつまんで編集して書いているのでいかにもスムーズにうまくいったように読めるかもしれませんが、まさかまさか。
価値基準をつくるまでの過程でもたくさんの失敗をしましたし、運用にのせる過程でもたくさん失敗してます。それでも何年か続けていたらこうやってまとめて書けるぐらいにはなるわけなので、継続って大事なんだなと思います。
価値基準とかビジョンづくりとかスマートな印象があるかもしれませんが、実際は泥臭い仕事ですね。それこそOWNERSHIPをもって継続しないと折れちゃう仕事かなって思います。それが当事者としての私の意見ですね。このnoteが皆さんの参考になったのなら幸いです。