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メルカリで買ったカメラに前の持ち主の写真データが大量に入っていた件
かつて一眼レフカメラをメルカリで買ったときのこと。
5DMark2が2万円で売っていて「フルサイズなのにいよいよ底値だなぁ」と思って何気なくポチったのだ。外装はそれなりに傷がありますのでご了承ください、メモリーカードは含まれません。と注意書きがあった通り、カメラ本体はぶつけた後や擦った後で結構傷がついていた。でもそれがむしろプロっぽい使い方という感じがして、大切に長いこと使われてきたんだろうなと思ってしみじみとした思いになった。
5Dmark2はフラッシュメモリなので、SDカードは刺さらない。あらかじめSDカードと、フラッシュメモリアダプタを購入してあった。それを早速刺して試し撮りしてみようとカメラのカバーを開けた。
そうしたら、フラッシュメモリが刺さっていた。前の持ち主が抜き忘れたのだろう。メルカリの説明書きにはきちんと「メモリカードは付属しません」と書いてあったので、おまけでつけてくれたとは考えにくい。
今どきフラッシュメモリに保存してもそれを読み込む機器が手元にないし、持ち主に断ってから内容を削除して廃棄かなぁ。そう思って何気なくカメラの液晶でフラッシュメモリの中を見てみた。
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そこには見事な雪山の写真が記録されていた。
はっと息をのむ見事な写真だった。
見てはいけないと思いつつ、しかし我慢できずに画面をスクロールして写真を次々と見てしまう。持ち主はおそらく中年で、奥さまと一緒にかなり本格的な登山をオールシーズンで楽しんでいる人みたいだった。何枚かスクロールしてから、メルカリのメッセージでやり取りをして、こちらで破棄してくださいとのことだったのでデータを削除して廃棄した。
ほんとうに歴戦のカメラだったのだ。
このカメラとあちこちの山に登って、綺麗な山々を収めてきたのだ。そう考えると、すごいものを受け継いでしまったと感動が湧き上がってきた。
これは誤配だ。
もちろんメモリーカードが入っていたのは持ち主のミスで、つまりは誤配=届かないはずだった手紙が届いてしまった状態なのだけれど、それでも僕は手紙を「受け取ってしまい」、山のことを思ったのだった。
持ち主はカメラをやめてしまったのだろうか。
それとも、山を登れなくなるなどして、カメラを手放したくなってしまったんだろうか。そう考えて不安になった。でも考えてみると、持ち主はカメラ本体は手放してもレンズは売りに出していない。持ち主の他の出品を確認しても、対応のレンズは1本たりとも出品されていなかったのだ。
つまり、(実際のところはわからないにせよ)持ち主はカメラを買い換えたのだろう。カメラの外装が傷だらけになるくらい沢山使い倒して、次のカメラにステップアップしたのだ。
そう考えたらすごく気持ちが明るくなった。
きっと持ち主は、今も山を登っていて、きっとメルカリで得たお金を足しにして、新しいピカピカのカメラで山を(奥さんと)登っているのだろう。
おしまい
写真集、できました!