【わからなさに浸る】坂本龍一展に行ってきた【東京都現代美術館】
「混雑がやばいんで土日は行かないほうがいいですよ」と後輩が言った。東京都現代美術館で開催されている坂本龍一のインスタレーション展示に行ってきたという。後輩は以前は展示が終わってから「そういえばあの展示面白かったですよ」と教えてくれていたのだけれど、「終わる前に行ってくれないと僕も行けないじゃないか」とぶうぶう抗議していたら会期中に教えてくれるようになったのだ。
調べてみると生前に坂本龍一が構想していた展示の実現、みたいな感じで、色々なアーティストと音楽のコラボ、それをインスタレーション空間で表現する…みたいな感じだった。場所が現代美術館なので嫌な予感がしないでもない(かなり現代アート的な尖り方をしていてわけがわからないうちに終わることが多い…でも良い展示ももちろんある)けれど、少なくとも音楽と共に霧が出てくる作品はぜひ参加したいし、この機会を逃すと二度と体験できないだろうから、えいやと行ってきた。
結果としては行って良かった。
7割くらい意味がわからない作品(これは悪評ではなく)だったけれど、意味がわからないというのはその言葉以上でも以下でもなく、そもそも音楽やアートは意味を超えることができる手段であり目的だと思うので、それでこそ足を運んで行く意味があるし、わからないことをわからないままで味わう面白さがあると思った。
音楽と共に霧に包まれる作品なんかは意味がわからないの極致だけれど、大人も子供もすごく楽しんでいた。僕も面白かった。これまでの経験で周りが真っ暗で見えないということはあったけれど、周りが白すぎて見えないというのは経験がなかったので、新鮮だった。霧に包まれると自分が目を開けていても閉じていても情報量が変わらないので面白い。ふわふわと浮かんでいるような気もするし、そもそもここがどこなのかもわからない。周りに人が50人くらいいたような気がするけれど、誰も姿が見えない。遠くから人の話し声が聞こえたりしながら、でも一歩も前に進むことができず、誰もが立ち尽くしている。
この作品の意味がわからなくても、この状況を味わうことはできる。そういう視座で臨むと面白い展示かもしれない。
今日のカメラはオールドコンデジで。
今日はここまで