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今もまだ、この身に

透明な檻の中にて獰猛に暴れ傷つき哭きし日の青
(TOUMEI NA ORI NO NAKA NITE DOUMOU NI ABARE KIZUTSUKI NAKISHI HI NO AO)

若い頃、苦しかった。
 
自分の内側と外側が一致することはなく、理想と現実は
彼岸と此岸のように果てしなく遠かった。
 
心と体の輪郭に合わせて作られたような透明な檻に
縛られて、獰猛な自分が常にもがき続けていた。
 
ただ青かった。人生は暗くて、強制労働だった。
 
静かに泣く日も激しく泣く日もあって、
心は海のように定まらなかった。
 
体は丘に揚げられた魚みたいに水が恋しくせつなくて、
太陽に熱せられた地面が薄い肌を焦がして痛かった。
 
若者らしい繊細さと鈍感さとで勝手に傷ついていた。
 
あの頃。
 
世界は生まれながらに理不尽と不自由だけで成り立って
いて、しんどいが日常だった自分に
「ちゃんと軽くなる日が来るよ」と言ってあげたい。
 
苦しさの源にあったのは生来の考え方や性格や、
思春期という時期の特別さ。
 
そして自分にはそれを経験する必要があったから
苦しんでいたのかもしれないと今は思う。
 
今もまだ、この身に青さは残っているだろう。
 
けれどあの頃より、その苦しさと上手に付き合える
大人になれた成長を、今は認めてあげようと思った。

読んでくださって、どうもありがとうございます** きらめく50音の中から掬い上げた31文字が、 あなたに届くとうれしいです。 今日も明日も、あなたの毎日が素敵な日々でありますように。 あなたの人生と世界が、優しいものでありますように。 すずき春