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薄いはずの掛け布団ですら

眠られぬ夏の夜中の掛け布団目覚めし時のせつなき重さ
(NEMURARENU NATSU NO YONAKA NO KAKEBUTON MEZAMESHI TOKI NO SETSUNAKI OMOSA)
 
部屋の密度が高く感じるのは、夏の温度と湿度のせい。
 
浅い眠りのなか、部屋がゆったりと体にのしかかって来る
ような息苦しさで目が覚める。
 
はあ。あつい。はああ。
 
薄いはずの掛け布団ですら汗ばんでいて重たく感じる。
 
髪も寝間着も汗で湿ってじっとりしているし、生乾きの
シーツに横たわっているような感覚だ。
 
まるで建物の湿気すべてが、寝ているベッド周りに
集められているみたい。
 
あと何時間で朝が来るんだろ。
 
愛しいはずの眠りの時間は、ため息と寝返りに支配されて
しまった。
 
乾いた季節の夜が恋しい。
 
朝と秋を待ちながら、静かに目を瞑った。

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すずき春
読んでくださって、どうもありがとうございます** きらめく50音の中から掬い上げた31文字が、 あなたに届くとうれしいです。 今日も明日も、あなたの毎日が素敵な日々でありますように。 あなたの人生と世界が、優しいものでありますように。 すずき春