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ああ、眠れない。

「黄金の方舟に乗れぬ夜の淵明日を思いてため息をつく」
 (OUGON NO HAKOBUNE NI NORENU YORU NO HUCHI ASU WO OMOITE TAMEIKI WO TSUKU)
 
甘く愛しい夜の眠りが、今夜はやってこない。
 
春宵一刻値千金。
 
宵闇のなか白く淡く浮かび上がるように花が咲き乱れる
美しい春の夜、暖かくて風も心地よい春の夜。
 
眠りという至福の時間は、春の夜みたいに黄金の価値を
持っている。
 
目を閉じて金色の安らぎに包まれるのを待つけれど、
意識はしっかり手元にある。
 
ああ、眠れない。
 
早く頭と体を休めないと、明日が来てしまうのに。
 
眠りの河をゆく方舟は、通り過ぎて彼方へと行って
しまった。
 
追いかけることも捕まえることもできずに、夜の浅瀬で
一人佇み朝を待つ。

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すずき春
読んでくださって、どうもありがとうございます** きらめく50音の中から掬い上げた31文字が、 あなたに届くとうれしいです。 今日も明日も、あなたの毎日が素敵な日々でありますように。 あなたの人生と世界が、優しいものでありますように。 すずき春