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【映画✖️心理学】リップヴァンウィンクルの花嫁
この物語のヒロインは
どこまでも他人軸なのか、
それとも
究極のサレンダーなのか。
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【リップヴァンウィンクルの花嫁】
サレンダー ★★★★☆
他人軸 ★★★☆☆
映像の美しさ ★★★★☆
うすく霞がかかって、ものごとのアウトラインがはっきりしない、そして清潔で湿度を感じる青がとても印象的な映画。
主人公の七海は、自信がなく、他人軸で自分が無いように見えるが、
純粋無垢で透明な少女のようにも見える。
物語の中で、彼女の本質自体に大きな変化があるわけではない。
周りが作り出す流れの変化(穏やかであったり、激流であったり、急な方向転換であったり)に、ただ流されている。
はじめは人生に期待もせず、自分の中に芯の無い、他人軸の女性が、
ストーリーが進み、他人の作り出す流れに磨かれて、
どんどん輝きはじめる。
他人軸で人の思惑に振り回されていた主人公が、
いつしか自分の人生のコントロールを手放し、その流れに身を委ねる(サレンダー)ことで、
自分らしく生き生きとし、そして、大切な人を守るために強くなる。
七海の軸が、他人軸からサレンダーへ切り替わるタイミングは曖昧で、
それがまた、「サレンダーできる強さ」を彼女が本来待ち合わせていたのだろうと感じさせられた。
「自分」という個はそのままに、否定せず、抵抗せず、人生のコントロールを手放し、ただ流れに委ねる、ということはこういうことだと、映像として見せてくれる作品。
3時間の長編なので、この作品にサレンダーできる時間と心のゆとりがある時に、ぜひ観てほしい。
※サレンダーと他人軸(依存・自立)
サレンダーとは「降伏」「降参」などの意味がありますが、
心理学的には「人を信頼して任せる」「流れに身を委ねる」の意味として使われます。
人にも、起こる事柄にも「信頼して委ねる」ということは、
ありのままの自分を受け入れ、自分を信頼していないとできません(自己肯定・自分軸)。
自分を信頼できているからこそ、他人も信頼することごでき、自分を委ねることができ、
どんなことが起きても、自分がどこに流れ着いても「私は私だから大丈夫」という強さがあるからこそ、「流れに身を任せる」ということができます。
肩に力が入らず、リラックスして「ありのまま」でいることで、自分の人生のコントロールを手放せ、とても自由な状態とも言えます。
◯他人軸(依存)は、自分の全体重(ニーズ・欲求)を他人に乗せて、自分の思い通りに人生を運ぼうとコントロールをしているような状態。
もしくは、自分の人生の責任を他人に丸投げしているような状態。
◯他人軸(自立)は、人に頼らず全て自分でやる、完璧でない自分は価値がない、などというような思いから、他人に委ねることができません。
自分に厳しい分、他人にも厳しくなります。
他人からの評価を気にしたり、その反面、傷ついた経験などから他人を信頼できず、任せられないなどの状態が起こります。
自立は自然の流れに抵抗し、強い川の流れにもひとりで立ち向かい、最後には疲労してしまうというような状態。
◯サレンダー(相互依存)は自分を信じ、ありのままの自分を受け入れ、全身の力を抜いて、川に浮き、その流れにただ身を委ねているような状態。
人を信頼し、人に任せることも自分軸で選ぶことができます。
【こんな人におすすめ】
◯他人軸の生き方に疲れてきた人。
◯頑張ることに疲れてきた人。
◯思考を停止して、ぼーっと作品の世界に没頭したい人。
◯人生に迷っている人。
◯自分の人生の現在地を見失って、自分がどこへ向かえば良いか分からなくなっている人。
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こんにちは、心理カウンセラーのスズキチサです。
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