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お好み焼きメキシカン手相

8月になった。

キャベツと、この前たこ焼きをやった時に買った小麦粉とが余っていたので、昼間に沖田がお好み焼きを作ってくれた。用事のついでに豚肉と長いもとにんじんを調達してきてくれ、タネを作りはじめる。

この日は沖田がキッチンの主導権を握っており、私は起き抜けでぼけっとしておりぼけっとしているのもなんだと思って、何か手伝うことはないかと訊ねると「応援しといて」と返ってきた。いつもの返しだ。

またぼけっとしていると「小麦粉混ぜるの手伝って―」と言われたので、よしと立ち上がった。沖田が水と長芋と卵とあと何かの入ったボウルをかき混ぜ、私は恐る恐る粉を振り入れる。固まりがぼこっと入ったりしたが、沖田が頑張って箸で潰していた。うちには泡だて器がない。そのあと「キャベツ千切りしてほしー」というので、傍らのキャベツを少しずつ千切りしつつボウルに投げ込む。あらかじめ沖田が千切りしていたにんじんも入っている。キャベツを投入し、私の役目は終わった。あとの焼きは沖田の担当だ。

そうして、キャベツとにんじんと長芋の、ふわふわで野菜たっぷりのお好み焼きが出来上がった。

昼からお好み焼き。なんだか贅沢だなあと思った。お好み焼きはなんとなく夜に食べるイメージだった。

美味しかった。


夜はとある打ち合わせに行った。

渋谷のヒカリエに入っているメキシコ料理屋さんではじめまして。

打ち合わせと言いつつ、楽しいご飯会となった。私含め4人いたのだが、お喋りが面白くて、ずっと聞き専になってしまった。

話題が占いの話になり、先方が「手相を勉強している」そうで私も手相を見てもらうことになった。興味津々である。

私の手を見た瞬間に先方がのけぞった。え!? どんな手相!? とドキドキしていたら、感情線と生命線の間が離れていているとのこと。

「KY線」というらしい。私ものけぞった。

「KY線」やりたいことにまっすぐで、逆に言うとやりたくないことはとことんやりたくないらしい。

おおー……確かに私、とても頑固です……

「k=空気 Y=読めない線」というネーミングの響きにちょっと思い当たる節がありすぎ何か刺さるものがあったが、またあとで詳しく調べてみたら「K=空気 Y=読みすぎる線」でもあるらしかった。決して空気が読めない線でもないとのこと。少しほっとした。

でも考えるに、「空気読めない」「空気読みすぎる」は表裏一体なのだろうなと。奥深い。丁度良くなりたい。

食事会は盛り上がりに盛り上がり幕を降ろした。

パワフルでにぎやかにたくさん笑って、年下の私が一番大人しかったと思う。たくさん活力をいただいた。

ひとりでは踏み入ることのなかったまた違う創作ができそうで、これからがすごく楽しみだ。


家では沖田がサメのムニエルを作り置きしてくれていた。


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鈴木のすり
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