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人形の作り方のご紹介〜壹三人形はどうやってできる?〜

きっかけは妄想

金属で作る甲冑とは打って変わって、今回は人形の開発と、シリーズについて話をしようと思います。

甲冑だけを製作していると、この甲冑はどんな人物が作ってどんな人物が来ているんだろうと考えることがあります。それは妄想に変わってこんな性格のこんな人に着ていてほしいなと考えるようになります。源義経ってどんな人だろう?伊達政宗ってどんな人だろう?と考えていると次から次に情景が浮かんでくるんですね。

そこで、まずイメージを作ろうと、雄山はイラストを描きまくりました。

この妄想を実現してみようと、人形の製作が始まりました。

壹三の人形は、皆個性があってイキイキとして、意志のこもった表情をしています。子供たちにはそれぞれの個性のもと、童心と遊び心を忘れずにイキイキと生きてほしいとの願いを込めています。それは作り手として「ものづくりの楽しさ」を教えてもらった、五月人形へのお礼のようなものです。

今回はそんな人形たちがどのように誕生するのかを紹介します。最後に少しだけ作品についても触れています^^

人形の製作工程のご紹介

1.原型をつくる

まずは、原型製作です。壹三の人形はねんどを使って造形をしています。人体の構造に則って造形していくため、壹三の人形はきちんと自立するようにできています。そのためポーズをとっていても自然に見えるようになっています。この工程でバランスが整っていないと、最終的に鎧を着せてもちんちくりんな人形になってしまうんです。

人形が自立している様子・・・

2.型に抜いて色をつける

シリコンの型で抜いて塗装で色をつけます。型を抜くときは気泡が入らないことはもちろんですが、液体が流れる動線の作り方が命です。いかに全部のパーツにまんべんなく液体を行き渡らせて、湯口(プラモデルでいう取り外す部分)を違和感のない場所に置くかに技術の秘密が隠れています。

型を抜いたら、合わせ目からバリが出るので、手作業で削り出していきます。

プラモデルの湯口
外した後に、湯口の部分を綺麗に研磨します。
試作の型の山積み

3.顔を描く

面相を書くときは目の立体感を表現するために、色をつける工程を分けています。この工程はショート動画でも紹介していますので、よかったらご覧ください^^

4.着せつけ

鎧を着せつけていきます。着用している甲冑は、全て雄山で製作している本格的な仕立てになっています。衣装を着せその上から甲冑をポーズに合わせて着せつけていきます。

鎧の着せつけ

5.完成

こんな感じで出来上がりました。壹三人形の大きな特徴としてはポーズをとっているところです。子供の仕草のどこか一場面を切り出したようなポーズはわんぱくで元気な少年たちをイメージしています。


もののふ童 蓮

シリーズのご紹介

こうして製作している個性あふれる人形たちを一部紹介します。

もののふ童〜国宝鎧〜

まずは、もののふ童シリーズ。壹三の中でも最も人気のあるシリーズです。もののふ童シリーズは中でも二つに分かれていて、国宝鎧をきている人形と、戦国武将の鎧をきている人形とがあります。

もののふ童 弦

もののふ童〜戦国武将編〜

もののふ童の戦国武将シリーズです。さまざまな戦国武将が、それぞれの得意なポーズをとって、子どもの日を華やかに演出してくれます。写真の作品は、「英雄見参 伊達政宗」と言って、アイアンマ●のポーズを真似る子供の様子を表現してみました。

英雄見参 伊達政宗

おぼこ丸

おぼこ丸シリーズのコンセプトは「まる」
丸のイメージで、雄山の「丸く円満なる人生を願う」というコンセプトに合わせて製作した、オリジナルシリーズです。ポーズはアメリカのアーティスト、ローズオニールのキューピーちゃんをモチーフにしています。

大きいおぼこ丸と、小さいおぼこ丸COCOの二種類をご用意しており、おぼこ丸は鎧のちり紙入れに、お守りを携えているんです。

左:おぼこ丸、右:おぼこ丸COCO

うららか

うららかは、アヒル口をしていてポーッと物思いに耽っている様子を表現した人形です。優しい穏やかな子供の様子を表現していて、子供の個性を大事にのびのび育って欲しい、そんな人におすすめな人形です。

うららか 空

YAYA

目がくりくりしていて、もののふ童たちと比べるともう一回り幼い印象の人形です。草鞋を履いて、瓢箪の水筒をぶら下げ、いざピクニックに出陣!といったところでしょうか。

乗り物シリーズ

私たちの中に、バイクや飛行機、戦車や汽車が大好きな職人がいます。その職人たちのマニアックさを人形でも出してみようと始まった乗り物シリーズです。現在はバイクのみ製作しています。

YAYA 銀ちゃん ライダー仕様

まとめ

人形のシリーズは、甲冑職人の伝統的な姿とはガラッと世界観の変わるものですよね。甲冑も人形も、お客さんに買っていただいているからこそ、次の挑戦ができるのです。この場を借りて、これまで我々のものづくりにお付き合いいただいた方々にお礼を申し上げるのと同時に、これからも職人としてどんどん新しい取り組みをして、皆さんを驚かせる作品を生み出していきたいと思います!

以上

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