【中国ブイ設置問題】門倉貴史氏のコメントへの反論
7月5日(金)、林官房長官が記者会見の場で、中国の海洋調査船が本年6月、沖ノ鳥島周辺の日本の大陸棚に位置する公海上の海域に浮標(ブイ)を設置したことを明らかにしました。
「専門家」や「エキスパート」と呼ばれる方々が、本件に対して、適当にコメントをしているのを見て、「外務省と一部の学者以外は、国際法(本件の場合は国連海洋法条約)を全く理解していない。」と怒りを覚えたため、以下のような解説記事を作りました。
【解説記事】
中国が沖ノ鳥島周辺の公海上にブイを設置した真の目的は?
特に、門倉貴史(エコノミスト・経済評論家)氏によるYahoo!コメントは、全く国際法に基づいたものではなく、むしろ同氏自身がそのコメントにより「私は国際法なんか知りません!」と分かってしまうほどのレベルでした。
本noteでは、門倉氏の「中国による沖ノ島周辺海域のブイ設置問題」へのYahoo!コメントを国際法の観点から、検証していきたいと思います。
※なお、トップ画像の出典は「京浜河川事務所HP 沖ノ鳥島の概要」です。
まずは、門倉氏のYahoo!コメントを確認
それでは、最初に本件に関する門倉氏のYahoo!コメントを確認しておきたいと思います。
以上が「中国による沖ノ島周辺海域のブイ設置問題」への門倉氏のコメントですが、国際法的観点による検証の前に、お伝えしなければいけないことがあります。
それは、「この記事が既に削除されている」点です。まず、この記事をクリックすると、「指定されたURLは存在しませんでした。URLが正しく入力されていないか、このページが削除された可能性があります。」と表示されます。
また、辛うじて本件に関する門倉氏のコメントだけは、Yahoo!ニュースで以下のように見ることができますが、なぜか「こちらの記事は掲載が終了しています」と記載されています。
私はこのYahoo!の記事を読みましたが、事実を淡々と述べているもので、特に問題はなかったと思います。
そのため、「記事が削除された」もしくは「記事の掲載が終了した」のは、「門倉氏のコメントに問題があった」からだと、私は推察しています。
実際、本ニュース以外の「中国による沖ノ島周辺海域へのブイの設置」に関するYahoo!の記事は、7月18日現在でも、閲覧することができます。そして、これらの記事には門倉氏のコメントが掲載されていません。
以上のことを踏まえると、「門倉氏のコメントに問題があった」と考えるのが至極、当然と言えるでしょう。では、「具体的にどの部分に問題があったのか」について、国際法(国連海洋法条約)上の諸規定などを踏まえて、考察を進めて行こうと思います。
以下の2点については、特に問題なし
門倉氏のコメントの問題点を考察する前に、「門倉氏のコメントで間違っていない」部分を確認しておきたいと思います。
門倉氏のコメントで認識が誤っていない部分は以下の2点のみです。
② 中国は沖ノ鳥島を「島」ではなく「岩」であると主張し、これを起点とした大陸棚は設定できないとしているが、日本は2011年〜2016年にかけて750億円をかけて沖ノ鳥島を海洋開発の拠点にすべく「島」として整備した。
④ 沖ノ鳥島の北方には、コバルトやニッケルといったレアメタル(希少金属)や次世代の天然ガス資源メタンハイドレートが大量に埋蔵しているとみられる。
国連海洋法条約上の「島」と「岩」の定義の解釈と護岸工事
まず、②の点については、特に問題はありません。念のため、国連海洋法条約が「島」と「岩」についてどう定義しているか見ていきましょう。
国連海洋法条約第百二十一条
「島」とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。
3に定める場合を除くほか、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。
人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない「岩」は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。
日本政府は「3項は『岩』の規定であり、1項の『島』の規定からは独立している」と主張しています。実際、沖ノ鳥島には3項で規定されている「人間の居住」などの条件は満たしていませんが、1項の「島」の規定は沖ノ鳥島にも当てはまります。
一方の中国政府は「いやいや、沖ノ鳥島には誰も住んでいないから、島じゃなくて岩だろ」と主張しています。
しかし、国連の大陸棚限界委員会によって、沖ノ鳥島を起点とする四国海盆下の大陸棚は、日本の「延長大陸棚」として認定されています。つまり、同委員会も「沖ノ鳥島に対する日本の領有権」を認めているということにもなります。
沖ノ鳥島における活動拠点整備事業
また、「日本は2011年〜2016年にかけて750億円をかけて沖ノ鳥島を海洋開発の拠点にすべく「島」として整備した。」という点も間違っていません。実際、国土交通省「沖ノ鳥島における活動拠点整備事業 新規事業採択時評価 (平成22年8月 )」では、同事業の目的を以下のように説明しています。
さらに、「④ 沖ノ鳥島の北方には、コバルトやニッケルといったレアメタル(希少金属)や次世代の天然ガス資源メタンハイドレートが大量に埋蔵しているとみられる。」という点も問題ありません。先ほど引用させていただいた国交省の資料にも、以下のように記載されています。
ここまでの門倉氏のコメントは問題ありません。問題は「その他の①、③、⑤、⑥のコメント」です。それではこれから国際法の観点に基づき、1つずつ反論をしていこうと思います。
現状、国際法に基づいて日本が干渉できる権利はない
最初に取り上げるのは、「① 国際法に基づいて日本が干渉できる権利はある」というタイトルです。結論から申し上げると、国際法に基づいて日本が干渉できる権利は、現時点では、誠に残念ながらありません。
まず、門倉氏が言う「国際法」が何を指すのかが全く不明です。本当に国際法を知っている方であったら、このような海に関する問題で「国際法」という単語を安易に使うことはまずありません。
海に関する問題は主に「国連海洋法条約」が規定しています。もちろん、国際慣習法、その他の海に関する条約、法の一般原則などの国際法の法源もありますが、本件では「国連海洋法条約」を持ち出さないと、正しく説明ができません。
大変失礼な言い方になってしまい恐縮ですが、「適当に国際法という単語を使っている」というのがバレバレです。
また、「国際法に基づいて日本が干渉できる権利」は、現時点ではありません。これも誠に残念ではありませんが、現状の国連海洋法条約では、7月5日に林官房長官が記者会見の場で発言した以上のこと(以下の黒字太字部分)はできません。
目的や計画などの詳細を示さないまま設置したことは遺憾。中国側には海洋活動全般で、様々な懸念や疑念があることも踏まえ、直ちに透明性のある説明や活動を行うよう申し入れを行った。
(ブイが)設置された海域は、いずれの国の管轄権も及ばない公海で、全ての国に航行や科学的調査を行う自由などが認められている。仮に、我が国の大陸棚に対する科学的調査であれば、国連海洋法条約により事前の通報が必要だが、中国側は「海底ではなく、津波観測用だ」としており、条約上の通報の義務はない。
簡単にまとめると、日本が中国に対して主張できることは以下の2点のみです。
「(中国側に)調査の目的を教えろよ!」と主張する
「公海じゃなくて、日本の大陸棚に関する科学的調査だったら、調査の前に日本に教えろよ!」と主張する
上記2つの主張を見れば簡単に理解していただけると思いますが、どちらも「干渉」ではありません。
仮に今回の事件が、四国海盆下の延長大陸棚への掘削であれば、国連海洋法条約第81条に基づいて、その掘削に対して規制することができます。
【参考】国連海洋法条約第八十一条 大陸棚における掘削
沿岸国は、大陸棚におけるあらゆる目的のための掘削を許可し及び規制する排他的権利を有する。
しかし、今回は大陸棚の掘削ではなく、公海上(※同海域下部に沖ノ鳥島を起点とした延長大陸棚があるため、純粋な意味での公海ではありません)へのブイの設置です。
しかも、公海上においては「すべての国が公海の自由(航行の自由、上空飛行の自由、漁獲の自由、海洋の科学的調査の自由等)を享受する」と国連海洋法条約第87条1項で規定されているため、日本としては、先ほどの2点しか中国側に主張することができません。法の抜け穴をつかれた形です。
「国連の大陸棚限界委員会によって日本の大陸棚として認める勧告を採択している」は誤解を与える表現
また、「③ 国連の『大陸棚限界委員会』も、2012年に日本の大陸棚として認める勧告を採択している」という記述は、「誤解を与える表現」と言わざるを得ません。
正確には「国連の『大陸棚限界委員会』も、2012年に日本の「延長」大陸棚として認める勧告を採択している」と記述すべきです。
今回、中国当局がブイを設置した場所は、四国海盆と呼ばれる「公海」上ですが、その下部には沖ノ鳥島を起点とした大陸棚があり、自然的形状などから、その大陸棚の先の大陸棚(延長大陸棚)までの日本の主権的権利が大陸棚限界委員会によって認められています(参照:外務省HP:外務報道官談話「我が国の大陸棚延長申請に関する大陸棚限界委員会の勧告について(平成24年4月28日)」)
言葉で説明すると、ちょっと分かりにくいと思うので、まず以下の資料をご覧ください。
上記の資料のとおり、大陸棚は排他的経済水域と同様、領海基線から200海里まで設定できます。
また、同大陸棚との自然的形状(簡単に言うと、陸続き)などを考慮して国連の大陸棚限界委員会が沿岸国からの延長大陸棚申請を審査して、「延長大陸棚を認めますよ」という勧告が出されれば、沿岸国の「延長大陸棚」として認められることになります(上記資料だと「大陸棚の延長が可能」という部分です)。
この勧告を踏まえた、現在の日本の「排他的経済水域(青色部分)」、「延長大陸棚(オレンジ色の海域に赤の斜線が入っている部分)」は以下のとおりです。
以上の点を踏まえて、もう一度門倉氏のコメントを見てみてください。
「③ 国連の『大陸棚限界委員会』も、2012年に日本の大陸棚として認める勧告を採択している」
上記地図のとおり、沖ノ鳥島の周辺海域は、同島を起点とした排他的経済水域と、排他的経済水域の海底にある大陸棚があり、日本はそれらに対して排他的権利を持ちます。
また、その大陸棚の「陸続き」という点で、四国海盆下部の「延長大陸棚」が認められたというわけです。
そのため、門倉氏のコメントでは、四国海盆の海底の大陸棚を「普通の大陸棚」として捉えられてしまう恐れがあります。
おそらく、門倉氏は「大陸棚」と「延長大陸棚」の違いも分からずに、単純に「大陸棚」という単語を使ってしまったのでしょうね。
公海における航行の自由を全く理解していない
次に問題なのが、「⑤ 海底資源を狙う中国が国連の勧告を無視してブイを設置すれば、日本は ブイの内側に進入できなくなり、沖ノ鳥島北方の採掘権を失うことにもなりかねない。」というコメントです。
大変恐縮ながら、このコメントを見ただけで、「門倉氏が国連海洋法条約を全く理解していない」ことが分かってしまいます。それでは、このコメントを2つに分けて検証していきます。
日本はブイの内側に進入できる
まず、「海底資源を狙う中国が国連の勧告を無視してブイを設置すれば、日本は ブイの内側に進入できなくなる」という点についてです。
今回ブイを設置された四国海盆は、同海底に沖ノ鳥島を起点とする延長大陸棚があるため、純粋な意味での公海ではありませんが、国連海洋法条約で規定されている「公海における航行の自由」は、日本のみならず、中国を始めとする他国にも認められます。
実際、国連海洋法条約では「公開における航行の自由」が、以下のとおり規定されています。
第八十七条 公海の自由
1 公海は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、すべての国に開放される。公海の自由は、この条約及び国際法の他の規則に定める条件に従って行使される。この公海の自由には、沿岸国及び内陸国のいずれについても、特に次のものが含まれる。
(a)航行の自由
この「公海における航行の自由」が国連海洋法条約で認められているため、「日本がブイの内側に進入できなくなる」ことはありません。逆に言うと、中国もブイの内側に進入することができます。なぜなら、そこは公海上だからです。
「日本が沖ノ鳥島北方の採掘権を失うことにもなりかねない」とは言い切れない
次に、「日本は ブイの内側に進入できなくなり、沖ノ鳥島北方の採掘権を失うことにもなりかねない」という点について考えていきます。
前述したとおり、日本がブイの内側に進入できなくなることはありません。そして、「日本が沖ノ鳥島北方の採掘権を失うことにもなりかねない」とは必ずしも言い切れません。
まず、「沖ノ鳥島北方」という表現が曖昧過ぎます。この「沖ノ鳥島北方」が「領海」、「接続水域」、「排他的水域」、「公海」のどれを指すのかが不明です。もう少し具体的に記載すべきです(もう一度、以下の資料を見て各海域について確認しておきましょう)。
いずれの海域だとしても、日本の大陸棚(延長大陸棚を含む)に対する主権的な調査・開発権は日本にあります。
国連海洋法条約でも沿岸国(この場合は日本)の主権が及ぶ大陸棚への探査や天然資源の開発に対して、「沿岸国(日本)は主権的権利を行使する」と定められています。
第七十七条 大陸棚に対する沿岸国の権利
1 沿岸国は、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため、大陸棚に対して主権的権利を行使する。
2 1の権利は、沿岸国が大陸棚を探査せず又はその天然資源を開発しない場合においても、当該沿岸国の明示の同意なしにそのような活動を行うことができないという意味において、排他的である。
一方、中国は、今回のブイの設置目的について、「海底ではなく、津波観測用だ」と主張しています。仮にそうだとすると、国連海洋法条約第77条2項の通報の義務はありません。
しかし、今回の中国当局による四国海盆へのブイの設置目的が「レアメタルを含んだ鉱物資源が分布している大陸棚の調査」であることは間違いないでしょう。そうでなければ、わざわざ西太平洋まで出向いて、ブイなんか設置するはずがありません。
(※実際には、日本の大陸棚の鉱物資源調査以外に、地政学的・軍事的な中国の思惑もあると私は推察しています。詳しくはこちらのnoteをご覧ください)。
以上のことから、「⑤ 海底資源を狙う中国が国連の勧告を無視してブイを設置すれば、日本は ブイの内側に進入できなくなり(筆者注:進入できます)、沖ノ鳥島北方(筆者注:どの海域の大陸棚ですか?)の採掘権を失うことにもなりかねない(筆者注:他国は、日本の主権的権利が及ぶ延長大陸棚での採掘に関して、沿岸国の日本にから事前に同意を得る必要があるため、採掘権を失うとは言い切れません)」というコメントが如何に的を得ていないものかご理解いただけたかと思います。
因みに、中国は「公海上の津波観測」と主張していますが、「国連海洋法条約を無視して、日本の延長大陸棚の採掘調査を既に始めている」と考えておいた方がいいでしょう。
「日本はこの問題について譲歩すべきではない」の「譲歩」って何?
最後の点は「⑥資源の少ない日本にとって、海底資源の開発は莫大な国益を生み出す。国益を損なうことのないよう、日本はこの問題について譲歩すべきではない。」です。
まず、前半部分の「資源の少ない日本にとって、海底資源の開発は莫大な国益を生み出す」は全く問題ありません。
しかし、後半部分の「国益を損なうことのないよう、日本はこの問題について譲歩すべきではない。」はもっと具体的にコメントすべきだったでしょう。
何が言いたいかというと、門倉氏が言う「譲歩すべきではない」が「何を指すのかが不明」なのです。これは私の推察に過ぎませんが、門倉氏も「譲歩すべきではない具体的な内容」について考えが及んでいないのではないでしょうか。
仮に「譲歩すべきではない」ことが以下の3点だとします。
中国側への強い抗議
ブイの撤去
中国に対する対抗措置の実行
まず、「1.中国側への強い抗議」は効果なしです。日本がいくら「遺憾砲」を発射しても、中国には効果なしです。
しかも、日本が国連海洋法条約上、中国に言えることは上述したとおり、「(中国側に)調査の目的を教えろよ!」と「公海じゃなくて、日本の大陸棚に関する科学的調査だったら、調査の前に日本に教えろよ!」の2点しかありません。当然、中国は「あ、そうですか」という感じで、簡単にスルーするでしょう。
また、残りの2点(「ブイの撤去」と「中国に対する対抗措置の実行」)はいずれも中国に対して「譲歩していない」行動と言うことはできます。しかし、仮に上記2点を実行に移してしまうと、まさに中国の思う壺です。
まず、「ブイの撤去」ですが、現在の国連海洋法条約には、公海上(延長大陸棚の上部水域)に他国が設置したブイなどを沿岸国が撤去する権利は認められていません。むしろ、「撤去する権利に関する規定がない」と言った方が正しいでしょう。
確かに、昨年、フィリピンは、中国と領有権を争う南シナ海スカボロー礁で中国海警局が設置したブイを撤去しました。しかし、これが「どの法的根拠に基づいて行われたか」は不明です。
そして、排他的経済水域や公海(延長大陸棚の上部水域)における他国が設置したブイの撤去に関する国家実行も少ないため、現時点では同海域でのブイの撤去を可能とする国際慣習法も成立していないと考えられます。
「法の支配」と「法の遵守」を重視する日本としては、中国のように「公然と国際法を無視した」形でブイを撤去することはできません。仮にブイを撤去したら、「日本は国連海洋法条約によって認められている公海上の科学的調査の自由を侵害した」と世界中に向けて、発信していくでしょう。
つまり、日本がブイを強制的に撤去してしまうと、中国側に「外交カードを一枚渡してしまう」ことになってしまいます。
そして、最後の「中国に対する対抗措置の実行」も現時点では控えるべきです。日本の国会議員の中には、「中国に対して、対抗措置を取るべきだ!」と主張している方もいます(恐らく、この方々も国際法に対する知識がないと思います)。
しかし、本当に日本が中国に対して、対抗措置を取った場合、中国がどのように反応するか、容易に想像できます。例えば以下のようなことを中国が行ってくる可能性があります(あくまで一例です)。
中国にいる日本人の拘束
日本向けの輸出品に対する中国による不当な値上げ
中国向け輸出品への不当な関税障壁の設定
レアメタルなどの日本への輸出制限 など
以上のことから、日本が中国側に対抗措置を取ってしまうと、それ以上の対抗措置を中国が取って来ることにもなりかねないため、現時点では「どうすることもできない」のが現状です。本当に情けない限りです。
じゃあ、日本はどうすればいいの?
最後に、「日本は本件に関して、どう対応していけばいいのか」について私見を述べさせていただきます。
まず、林官房長官の発言にあるとおり、日本政府はブイの設置に関する情報の収集と分析などを進めています。その分析の中には、「国連海洋法条約に基づいて、ブイの撤去は可能か」という点も含まれていると思います。
中国は、ブイの設置に対する日本の情報収集・分析に基づいた「日本の出方」を注視しています。
中国は国際法を知り尽くしており、「公海(延長大陸棚の上部水域)へのブイの設置」という法の抜け穴を今回ついてきました。
日本は「法の支配」と「法の遵守」といった共通の価値観を重視するG7各国と連携しつつ、今回のような事態に国際法的に正しく対処するために「国連海洋法条約などの国際法で何ができるか」について早急に分析と検討を進めていく必要があると思います。
※因みに、四国海盆への中国によるブイの設置には、地政学的・軍事的思惑もあると見ています。本件に興味のある方は、「中国が沖ノ鳥島周辺の公海上にブイを設置した真の目的は?」をご覧いただければと思います。
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