大根が手に入った日は、おでん
最近ミラノはめっきり寒くなってきた。
朝の気温は8度。もうコートが必要な季節だし、気の早いダウン姿の人もちらほら。つい最近まで日中は20度だったから、加減が分からずつい着込みすぎてしまう日もある。
ミラノは霧の街である。冬の朝は、窓を開けたら一面真っ白の景色が広がる日も多い。そういう日は寒さだけじゃなく、湿度も相まって骨の芯まで冷える。
寒い日はやっぱり体が温まるものがいい。幸いなことに、ミラノでは数年ほど前からスーパーにも大根や白菜が並ぶようになった。これまで中華系のアジアンスーパーに行かないと手に入らなかった野菜が、近所のスーパーで簡単に手に入る。革命だ。
大根と白菜は、スーパーで見かけたらとりあえずかごに放り込んでいる。冷蔵庫の中身と相談する必要もない。鍋でも煮物でもスープでも、温かい料理と相性がいいから消費に困ることはない。もし余ったらとりあえず塩で揉むか、味噌汁にでも入れておけば間違いない。冷蔵庫に隙間があるかどうかなんて関係ない、VIP待遇でお迎えしたい。
大根が手に入った日、我が家の第一選択肢は、おでんだ。
本当はちくわも厚揚げもさつま揚げもしらたきもこんにゃくも欲しい。だけど、そこまでは近くのスーパーでは手に入らない。だから我が家のおでんはいつも大根とにんじん、牛肉、たまごだけの簡単なやつだ。でも体はしっかり温まる。
夕方、娘の迎えに行くために家から学校までの距離をとぼとぼと歩く。すっかり冷え込んで暗くなり始めた道を歩きながら「そういえば今日はおでんだったな」と、知ってるけどわざと思い出したふりをするのが、楽しいのだ。
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