Lyten、苦境に立たされたNorthvoltからバッテリー製造資産を買収
窮地に陥っている欧州バッテリー大手のNorthVoltが北米の製造拠点をLiS電池を手掛けるLytenに売却します。
夏以降に事業再編策を打って延命を図るNorthVoltは月に1億ドルが流出しており、身売りも想定されます。
一方のLytenはLiS電池の導入企業が拡大しており、本件を好機として事業拡大を狙います。
1;NorthVoltの製造拠点をLytenが買入へ
11/13に米国のバッテリー新興;LytenがNorthVoltから製造拠点/資産を買収すると発表。NorthVoltは主に21年に買収したCuberg(バッテリー新興)の製造設備を売却、Lytenは2000万ドルの製造強化資金の一部を投じてCA州のCuberg製造設備を購入することに
NorthVoltはEV需要急減とBMWとの契約停止(20億€)などに基づき資金ショートに近しく、危機的な状態にあり事業再編が進むが、キャッシュ節約に向けて、[24/08;Cuberg拠点でのR&D閉鎖+200人レイオフ][24/09;欧州の主力工場拡張計画停止+1600人のレイオフ]などを実行
今回の取引で両社双方に[事業継続][事業拡大]を加速させる方針
Lytenは27年予定の10Gwh規模工場(10億ドル/リチウム硫黄電池生産)の稼働までの供給力確保につなげる方針
NorthVoltは毎月1億ドル流出しており事業安定化には10億ドルの調達が必要とされ、今回取引手の出血停止/輸血も焼け石に水か…
2;LytenとLiS電池
Lytenは2015年設立のバッテリー新興企業で、CO2排出量を抑制する次世代リチウム硫黄電池(LiS電池)の開発/製造を特徴とする
最新の評価額は11.7億ドルで、これまでに4.76億ドルを調達。主力製品であるLiS電池は希土類レスでCO2排出量を抑えた次世代電池で、硫黄と独自の3Dグラフェンの利活用が売り
LiS電池では正極材には硫黄/3Dグラフェンを用いており、従来のニッケル/マンガン/コバルトを使用しないことで従来型LiBよりコスト削減が可能。更に[エネルギー密度は2倍以上][電池パックにした場合は60%軽量化][過充電/熱暴走への耐性]などの機能特徴を持つ。また、グラフェンはナノレベルで折り曲げ/捩りで反応性を高める素材で、3Dグラフェンでは特徴を生かして強度/導電性/イオン透過性などを調整する
原材料は北米/欧州で調達可能で、希土類に関連するサプライチェーンリスクや環境負荷の高い採掘といった諸問題の解決に資する。
米国に関してはIRAに基づく補助金適用対象となる(米国本土での調達/製造という要件を満たす)。Lytenは現在CA州に生産拠点を置き、需要の高まりから生産能力の増強を模索していた