Joby Aviationが水素電気航空機の試験飛行に成功
Jobyが水素燃料eVTOLの試験飛行(850km)に成功したとリリースを出しています。
元祖eVTOLが商用段階にまだ至っていない中での水素燃料型の実験、バイデン政権が進めるIRA予算の獲得の意味合いもあると思いますが、事業リソースの分散は嫌な予感がします…
現在のところ、2025年末までの商用エアタクシー事業の展開を予定しています。
1;Jobyの最新の動き
7/11にJobyは水素電気プロトタイプ航空機で523㏕(850km)の試験飛行を完了したとリリース。当該試験機は液体水素燃料電池/水素電気推進システムを搭載したeVTOL
現在のJobyによるeVTOLは都市内/都市-空港の短距離での旅客/貨物輸送向けに製造され、バッテリー駆動で航続距離は100㏕(160km)。2025年に都市間/都市内の飛行を行う電動エアタクシーサービスの開始を目指す
JobyのCEO;JoeBen Bevirt氏は水素による航続距離延長が広い地域での活用につながるとする
-[航空業界にとって画期的な瞬間であり、長距離移動や長時間空中留まりたい場合に水素電気はゲームチェンジャー足り得る]
2;水素eVTOLについて
水素を車両動力として用いる技術は論争を巻き起こし、未だ商用レベルに至っていない…。メリットは使用時に水排出しかせずゼロ排出燃料源となる点だが、デメリットは多く、[生産費用の高さ][エネルギーの大量消費][水素製造に大量の化石燃料を用いる]といった点で、再エネ由来のグリーン水素の拡大にも時間がかかる
米政府はIRAで水素燃料にも注力しており水素ハブプログラム(80億ドル)などで支援し、多くのスタートアップも参入している
Bevirt 氏は、グリーン水素の可能性を大きく評価し、大規模調達者になりうるとする
-[水素はエネルギー当たり重量がジェット燃料の1/3で、水素燃料電池を使えば水素のエネルギー転換効率を2倍以上で変換することが可能]
eVTOLへの水素導入にあたって2021年にドイツの水素航空新興;H2Flyを買収して内製化を目指す。
2023年には液体水素を動力とする航空機で独自の有人飛行の実証に成功、現在Jobyは同技術を使用して水素eVTOLに電力を供給。H2Flyが設計/構築した燃料電池システムは、JobyのeVTOLに搭載する6つの電動モーターに電力供給し、飛行中にバッテリーを充電できる仕組み
実証段階ではあるが、Bevirt氏は実証開始準備が整えば最小限のコストで水素駆動eVTOLを現行システムに統合できるとのこと
-[我々が構築したバッテリーeVTOLと、内臓システム/コンポーネントの90%を水素電気レンジ拡張期で格闘できる]
-[非常に小さな追加投資で、同じ垂直離着陸場/パイロット/メカニック/バックエンドの全てを実行するElevate-OSを使用することができる]
3;Jobyのエアタク事業
Jobyはエアタクサービスの中核として[ElevateOS]を開発しておりUber配車同様のオンデマンド配車を可能とする機能を内包する
当該機能はUberが2020年にJobyに売却したもので、商用段階でJobyアプリはUber/Delta-Airと統合/連携される予定。Bevirt氏は[Joby/Uberのどちらのアプリを選んでも、街中/地域のどこへでも行けるようになる]と語って陸運/空運の連携移動を強調
4;水素ビジネスの難しさ
水素eVTOLの実現可能性について一部投資家/業界筋は厳しい見方をしている。例えばUp.Partnersの創設者/MPのCyrus Sigari氏は[投資を進めるには、説得力のある技術/ビジネスケースが必要]とする
最大の課題の一つは[インフラ]にあり、特に水素充填ステーションの確保/整備/拡大が必要とし、上記Sigari氏は下記のように語る
-[eVTOLですら空港の充電インフラを利用する方法に頭を悩ましており、そこに水素充填ステーションを加えるとさらに混乱する]
-[既存航空会社への水素供給事業を行うUniversal Hydrogenが最近閉鎖されたのは最たる証拠である]
ただ、別の新興;Zero-AviaはAAと100基の水素エンジン購入契約を締結するなど、別の動きも。Bevirt氏は[水素インフラ未整備は大きな障害でなく、既に水素インフラを整備した空港と提携協議を進めている]と語った
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